zakzak

記事詳細

《zak女の雄叫び お題は「良かったこと」》次男の「ふくみみ」

 7歳の次男には、生まれたときから左耳に「副耳(ふくじ)」がある。耳の穴近くに、ポチッとイボ状の突起がある。

 出産後、初めて次男を抱いたとき(左耳の形が、ちょっと違うなぁ)とは思ったけれど、命にかかわることではない。元気なことが、ひたすら有り難く、耳の形なんて、どうでもよかった。

 本人が気にし始めたのは3歳のころだ。保育園の洗面所の鏡で、他の子の耳にはないものが自分に付いていることに気がついた。

 「これは『ふくみみ』。ママのおなかの中にいるときに、神様がくれたラッキーの印だよ」

 私はそう説明した。次男は分かったような、分からないような顔をして、それ以上、聞いてはこなかった。

 ところが、先日、小学生になった次男が久しぶりに副耳についてたずねてきたときには、ずいぶん悲しそうな顔をしていた。

 「大人になったら、取れてなくなるの?」

 クラスメートに触られたという。きっと、からかわれたのだろう。子供同士の社会で、もまれていることが伺えた。

 小さな胸を痛めているかもしれないけれど、耳の突起は次男に貴重な体験をさせてくれたと私は思う。

 子供たちが生きる未来は、グローバル化がますます進む。そんな社会で他者とともに幸せな人生を送るには、多様性を認め合う心持ちが必要だ。

 「みんなちがって、みんないい」とうたう金子みすゞの詩や、SMAPの「世界に一つだけの花」の歌詞が伝えようとしている世界観を、マイノリティーの立場を経験した次男には、実感を伴って理解できると期待したい。

 そして、次男がもう少し大きくなって、インターネットを検索し、「ふくみみ」が「福耳」でなく「副耳」と書き、一種の奇形だと知ったとき、彼がどう受け止めるのかが楽しみだ。

 副耳を残すにしても、手術で取ってしまうにしても、自分らしくあるために彼が決めたことなら、尊重したいと思っている。

 ちなみに今は「注射するなら、取らなくていい」そうだ。(し)

【zak女の雄叫び】取材や日常…。女性記者21人が月ごとのキーワードで本音を綴るリレーコラムです。9月のお題は「良かったこと」です。

アクセスランキング