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サウジ攻撃はレーダー検知できず…「ドローン」が変える世界の軍事バランス

 9月14日、サウジアラビア東部の国営石油会社「サウジアラムコ」の施設2カ所が十数機のドローン攻撃を受けて出火し、原油生産量のおよそ半分に当たる日量約570万バレルの生産が中断に追い込まれた。内戦中の隣国イエメンの反政府武装組織フーシ派が犯行声明を出した。

 一方、サウジアラビア国防省は18日、攻撃に使用されたとする無人機や巡航ミサイルの破片を公開、フーシ派ではなく、イランが関与した証拠だと主張している。

 サウジアラビアは数十億ドルも費やして、高高度からの攻撃に備える最新鋭の防空システムを導入しているが、今回のドローンと巡航ミサイルを組み合わせた攻撃は、レーダーによる検知やミサイル迎撃ができなかった。今回のドローン攻撃は、世界の軍事バランスに大きな影響を及ぼす重要な出来事だ。

 日本では、北朝鮮などの弾道ミサイルを迎撃するため、秋田市と山口県萩市とに米国が開発した「イージス・アショア」(陸上配備型イージス・システム)の配備が予定されている(現地ではまだ承認されていない)。イージス・アショアはミサイルを検知できる。

 ところがドローンが低空で飛んできたら、レーダーは検知できない。今後、ステルス化(機体を敵のレーダーに捕捉されにくくする)の技術も上がってくるだろう。萩のイージス・アショアも簡単に叩くことができる。これ、非常事態だ。

 米国は北朝鮮の脅威をあおって、日本にイージス・アショアを買えと迫っている。韓国にも弾道弾迎撃ミサイルシステムのTHAAD(サード)を買えと言っている。だが、ドローンが出てきたら、イージス・アショアもTHAADもあまり関係がなくなる。

 従来のドローンは航続距離が250キロメートル程度だったが、今回、攻撃に使われたのは1200キロ~1500キロメートル。もっと伸びるだろう。しかも、1機が200万程度と安い。イエメンのフーシ派にしろ、イランのイスラム革命防衛隊にしろ、若干、知識があれば、簡単に組み立てられ、使いこなすことができる。

 世界中にミサイル防衛システムができ上がっているのに、それが通用しない兵器が、デリケートな施設をことごとく壊してしまう。ここは軍事的に極めて大きな変更を要求されることになる。高額なミサイル、およびその防衛システムなど無用になるかもしれない。

 ということで、今回のサウジへのドローン攻撃は、いままでの常識をすべて壊してしまうぐらいのすごい出来事だ。しかも、軍隊でなく、素人の学生でも何人か集まれば、ドローンを使うことができる。

 昨年夏、ベネズエラでドローンによるニコラス・マドゥロ大統領暗殺未遂事件が起こった。ネットで購入した市販のドローンに爆弾を搭載し、軍事式典に参加する大統領を狙ったものだ。プログラミングが悪くて失敗したが、兵士は負傷した。

 また、中国はドローンの技術が発達していて、夜空に1000機のドローンがLED(発光ダイオード)の光で建国70周年を祝う絵文字を描くパフォーマンスを披露した。これを軍事的にプログラミングしたら、1000機を一斉に動かして、分かれて攻撃することができる。普遍化している技術を使って廉価で防御しにくい。とてつもない脅威だ。

 ビジネス・ブレークスルー(BBTch)の番組「大前研一ライブ」から抜粋。

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