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遅すぎた問題公表…関電経営陣の重い判断ミス 社会的責任どう果たすのか

 関西電力高浜原発が立地する福井県高浜町の元助役から、関電役員らが多額の金品を受け取っていた問題が波紋を広げている。元助役が顧問を務める会社は原発関連工事を受注したことも分かっている。

 今回の事案を簡単にいえば、巨額な原発マネーが関電幹部へキックバックされていたことになる。これをどう考えるか。

 法的な問題として、関電幹部への「賄賂」がまず浮かぶ。もっとも賄賂罪は、公務員にだけ適用される身分犯であり、関電幹部はみなし公務員にもなっていないので適用はできない。ただし、会社法では、株式会社の取締役等の職務に対して、不正な請託を受けている場合には贈収賄罪を規定している。

 キックバックにより、関電幹部が利益を得て会社に損害を与えれば、背任の可能性もある。

 ただし、キーマンである元助役は今年3月に死去している。時効の壁もあり、これから刑事事件として立件するのはかなり難しいだろう。

 法的な問題以外にも、会社のガバナンス(企業統治)の観点からもさまざまな問題がある。取引先の税務調査からキックバックが発覚したが、その社内調査が行われたのが昨年9月。社内処分も行われたが、取締役会への報告がなされなかった。これは重大なミスだ。

 元助役の死去により、「死人に口無し」であるが、今になっての公表は何か作為的なものを感じざるを得ない。ディスクロージャー(情報開示)の観点から企業に社会的責任がある。

 関電の筆頭株主である大阪市の松井一郎市長は「事実ならばとんでもない。すべてオープンにしてもらわなければ納得できない」と述べ、責任追及のための株主代表訴訟の提起も辞さない姿勢だ。

 関電側の説明もスッキリしない。受け取った金品の大半を返したと説明したが、税務調査で「返した」は通用しなかったわけだ。

 関電側は金品の提供をされたとき、個人で返そうとしたができなかったと言い訳した。個人の問題に矮小化しようという意図がみてとれる。

 筆者はかつて役人だったが、20年以上前には贈答品等報告返却制度があった。これは、贈答品等について受け取りを拒否できないような場合や、知らない間に本人の自宅に届けられた場合などは、役所に報告すれば役所から丁寧に返却される制度だ。もっとも、それを使わずに報告しなかった段階でアウトだ。この報告制度は国家公務員倫理法6条(贈与等の報告)にも引き継がれている。

 役所との関係も深い関電で、こうした組織対応がなかったとは信じがたい。せめて、社内調査・社内処分が行われた昨年の段階で、公表されてしかるべきだった。

 このように判断ミスをした現経営陣に経営を任せておけないという声は今後さらに強くなるだろう。このまま無傷とは考えにくい。関電の社会的責任はどう果たされるのだろうか。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

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