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韓国・イタリアで医療“崩壊”地獄 無防備なPCR検査で医療従事者の感染招く 医師・村中璃子氏寄稿 (1/2ページ)

 世界保健機関(WHO)もようやく認めた新型コロナウイルス感染症の「パンデミック(世界的大流行)」。韓国ではソウルでも集団感染が発生、11日時点で感染者7755人、死者63人となった。イタリアも感染者1万149人、死者631人と深刻だ。発生元の中国を含めて共通しているのが、無症状や軽症の患者も積極的に検査した結果、「医療崩壊」を招いた点だ。対照的に重症者に医療資源を集中させた日本は持ちこたえられるのか。WHOで新興感染症対策に携わった医師でジャーナリストの村中璃子氏が緊急寄稿第3弾で分析した。

 中国の外に新型コロナウイルスの感染が拡大している。

 「アンダーコントロール」を豪語していたが、ここ数日各地で緊急事態宣言が出され始めた米国を除けば、目立つのはイタリア、韓国、イランだろう。日本も3月2日、WHOから「深刻な懸念のある国」として、イタリア、韓国、イランと並んで名を挙げられたが、翌日、菅義偉官房長官はこれに抗議。3月9日、今度はシンガポール、中国、韓国と並び、その努力と経験から学ぶことが「パンデミック抑止の鍵」となる国として改めて名を挙げられた。

 中国のような監視社会とイタリアのような民主主義国家ではできることが異なる。中国は、個人情報を脅かすほどの徹底した感染者の追跡、治療・隔離のための巨大病院の建設、マスクやガウンなどの医療物資の緊急大量生産といった対策を行った。中国メディアではこれを、「WHOは他国が行ったことのない公衆衛生学的介入を成し遂げたと絶賛している」と報じたが、どの国でも同じことを実施できるわけではない。

 そこで、注目されるのは日本と同じく民主主義国家である韓国とイタリアだ。

 韓国では、感染者を徹底的に洗い出すことを目的に無症状・軽症の患者まで広くPCR検査を実施した。日本では「韓国にできるのになぜ日本でできないのか」とPCRの全員検査を主張する識者まで現れたが、結果、韓国では軽症者が病床を占拠して重症者の医療を奪い、重症患者の救命にあたる医療スタッフが手薄となるなど医療崩壊が始まった。

 韓国ではMERS(中東呼吸器症候群)の経験から、大量のPCR検査を行うキャパシティを持っていたが、そのことがかえって災いした結果となった。

 イタリアでは、欧州で初めて中国人観光客2人を含む3人の感染が確認された1月31日時点で、「欧州一厳しい監視体制を取る」として、広く浅いPCR検査で徹底した水際対策をとることを宣言した。しかし、新型コロナウイルスはすでにイタリア国内に広がっていた。防護服を着るなどの体制を整えず、どこの病院でも無防備にPCR検査を行った結果、多くの医療従事者の感染を招いた。

 ■日本方式、有効か

  新型コロナウイルスは、症状だけではインフルエンザなど他の呼吸器感染症と区別がつかない。また、発熱は入院時で約半数、入院の全期間を通じても約90%しかないなど、インフルエンザとは似ていない部分もある。無症状の人も多いようだ。既知の感染症と「似ているのに似ていない」新型コロナウイルスは、探せば探すだけ感染者は見つかるが、無防備に探せば、医療関係者の感染という悪循環を招く。皆保険のイタリアではそもそも医療予算が手薄いが、医療スタッフという肝心の医療資源が損なわれるなか、急激な感染拡大の防止に失敗。人工呼吸器が不足するなど深刻な医療崩壊が起きているという。

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