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習主席“震源地”武漢訪問の狙いは? 共産党支配存続のため、財政刺激策と公衆衛生投資か

 中国の習近平国家主席は10日、湖北省武漢市を訪れた。新型コロナウイルスの「震源地」である同市を初めて視察したのだ。なぜ、この時期なのか。「疾病の予防・抑制が良い状況に向かっている」(習氏)ので、同市・地域の疾病状況が改善していると国内外にアピールする狙いがあったのか。

 中国当局の発表によれば、確かに、武漢市では新たな感染者・死者が減少している。

 では、中国の「官製発表」は信用できるのか。習指導部による総動員政策を吟味することで、その解を求めたい。

 中国財務省、国家発展改革委員会、国家税務総局など政府機関はこの間、コロナショックに伴う国民の痛み救済とヒトとモノの流れ回復に傾注してきた。中小企業に対する社会保障拠出削減、企業向け電気・天然ガス価格引き下げ、中小企業に対する付加価値税の一時的免除などだ。

 いわば、財政刺激策である。国家開発銀行、輸出入銀行、農業発展銀行など公的金融機関は国民総生産(GDP)比1%強相当のインフラ・社会住宅プログラム向け投資の追加を決定し、地方政府による特別目的債発行を昨年の2・15兆人民元(約32兆1960億円)から3・5兆元(約52兆4120億円)へ引き上げた。

 しかし、2008~09年の世界金融危機当時に行ったインフラプロジェクトに巨額な政府支出を充てた大規模な刺激政策となるのかといえば、答えは否である。

 世界金融危機の際の財政刺激策はGDP(国内総生産)比15%の4兆元(約60兆円)で、08年第4四半期から10年同期までをカバーした。

 換言すると、中国当局は財政刺激策が、コロナウイルスが引き起こす経済危機解決の万能薬になり得ないと判断しているのだ。

 それでも、金融市場では半ば期待も込めて、08年当時同様の財政計画が行われるという見方が支配的である。

 事実、鉄道・道路・空港など従来のインフラから5G・AI(人工知能)・EV(電気自動車)・ビッグデータ・クラウドなど新規インフラへの投資計画は維持・継続されている。

 だが、コロナショックという試練を経験した習指導部は、今月下旬か4月上旬に開催される全国人民代表大会(全人代=国会に相当)で公衆衛生=ヘルスケア部門(医療機器、医薬品、バイオなど)への投資の重要性を打ち出すはずだ。

 なぜならば、内需押し上げ一辺倒の政策では中国共産党支配存続の保証にならないことを十分に学習したからだ。(ジャーナリスト・歳川隆雄)

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