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トランプ大統領、再選の敵は「コロナ・ショック」 国難では現職有利が原則も…夏までに「経済安定化」が条件

 新型コロナウイルスの感染が拡大している米国で、100兆円規模の経済対策を検討していることが明らかになった。こうした経済対策によって株価下落や景気悪化を阻止することは可能なのか、トランプ大統領の再選戦略に影響が出てくる可能性はないのか。

 ここ数日間の米国の株式市場の乱高下は、まさにパニックという状況だ。取引が一時停止されるサーキットブレーカーも累次に発動されている。

 米政府の対策も理解・消化しきれずに、狼狽(ろうばい)売買が繰り返されている。こうした状況なので、経済政策がまるで効果を持っていないように感じられている。株式市場は実体経済を映し出すものといわれているが、それが極端に表れているのだろう。

 株価が下落している背景には、原油安に同時進行する形でエネルギー関連会社の倒産や金融機関の信用収縮が連想されて、リーマン・ショックと同じようになるという不安がある。

 ダウ工業株30種平均は既に直近最高値より3割以上も下落している。リーマン・ショック時には半年後ほどで4割程度下落した。米株式市場も今回のコロナ・ショックで似たような傾向になることが予想される。

 となると、ここ半年ほどはさえない状況になるが、米大統領選は11月なので、その時までには株式市場は最悪を脱出しているかもしれない。これは再選を目指すトランプ氏にはやや好都合だ。

 トランプ氏の相手は、元副大統領のバイデン氏で決まりつつある。サンダース氏は、かなり劣勢で、いつ撤退するかの問題になっている。支持者を考慮しいいタイミングをみているのだろう。

 コロナ・ショックがなければ、トランプ氏の再選はほぼ確実だった。もともと現職大統領の再選確率は高い。しかし、いまや相手はバイデン氏ではなく、コロナ・ショックだ。この国家的危機をうまく脱しないと、リーダーとしての資質が問われるからだ。

 しかしながら、国難の時にはよほどヘマをしない限り、現職大統領が有力である。その意味で、ショックに対する初動対策と事後の経済対策が、再選のカギをにぎる。

 初動対策は、人の移動制限が基本であるが、これは今のところセオリー通りで大きなミスはない。海外からの入国制限、イベント中止、学校休校と他の国で行われている定番メニューだ。

 事後の経済対策でも、米国の国内総生産(GDP)の5%程度にもなる100兆円規模の財政拡張と、75兆円規模の金融緩和なので、その方向は正しい。これらの財政支出では、議会とのねじれが懸念されていたが、さすがに米民主党もトランプ氏の足を引っ張るわけにいかないほどの非常事態だ。

 もっとも、株式市場はこれらの政策を理解も消化もできないほどにパニックになっており、これらの対策が効き出すのは3カ月以上かかるだろう。夏までに経済が落ち着けば、トランプ氏が大統領に再選されるだろう。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

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