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《zak女の雄叫び お題は「流行」》東京とはまったく異なる「コロナ震源地」ニューヨーク

 感染者数が24日時点で約1万5000人となり、新型コロナウイルスの「震源地」となった米ニューヨーク市。たった1カ月ほど前、アジア人というだけで地下鉄内で冷たい目線を浴びるなど肩身が狭い思いをしたが、今では、人種に関係なく、すべてのニューヨーカーがコロナ禍の当事者にいる。

 ニューヨーク州で実施されているのは、いわゆる「100%自宅勤務命令」だ。22日夜から、薬局や食品、銀行、メディアといった「必要不可欠」の業種以外の事業者や企業には、従業員や社員を全員自宅勤務させることを義務付けている。

 欧州の「外出禁止令」とはどう違うのか? ニューヨーク州では個人に罰則が設けられないことが大きいが、名前のインパクトの問題はある。同州のクオモ知事と、不仲で有名なニューヨーク市のデブラシオ市長は発令をめぐって対立。デブラシオ氏は一時、外出禁止令に相当する「屋内退避命令」を発令しようとしたが、知事は「人々が恐怖やパニックに陥る」と反対して、出勤禁止命令で落ち着いた。

 住民に対しては、可能な限り自宅にとどまること、人数にかかわらずすべての集まりは禁止すること、他人との距離を6フィート(183センチ)を保つことを求めている。地下鉄やバスなどの公共交通機関は動いているが、「緊急で必要な時以外は使わない」と呼び掛ける。

 この指示が出てから数日がたったが、町のスーパーは空いていて食料品や日用品は購入できる。2週間ほど前には買いだめしようとする人で、冷凍食品などの棚の商品がすべてなくなったが、品ぞろえはいつも通りに戻ってきた。先日、パスタを発見したときは感動したものだ。

 天気が良い日には、市内の公園が人でにぎわう。市中心部のセントラルパークをのぞくと、芝生で寝転がっている家族連れやカップルの姿も多く、いつもの光景でほほえましかったが、いやいや「コロナ対策は?」と。あまりに多くの人が集まったので、知事が激怒。警察官が公園で見回り、集団でウロウロしている人には注意することになったが、一部広場以外は制限はとられていない。

 もちろん観光客の姿は見かけないし、五番街やブロードウェーといった、市民の生活圏外の観光名所は閑散としている。

 深刻だと痛感するのは、飲食業、ホテル業、サービス業などを中心に襲っている解雇の嵐だ。2008年のリーマン・ショックの何倍もの人が職を失っている状態とされ、新型コロナという健康不安とともに、生活への不安も抱え暮らしている。解雇された多くの人にインタビューしたが、「仕方ない」と冷静に語るのには驚いた。「経済」よりも「人の命」のためと、封じ込めている不満や我慢はいつまで耐えられるのだろうか。

 知り合いでも新型コロナに感染したという人がちらほら出てきた。1万5000人という数字よりも、「いよいよこんな身近まで…」という実感が、精神的ダメージとなる。

 ロックダウン最中の楽しみは、日本の家族や友人たちとのテレビ電話。日本の友人から「今朝の品川駅は、まだこんなに混んでいるよ」と写真を送ってもらえると、同じく人口が密集する大都会なのに、この違いは何なのか…とがくぜんとする。東京の安全のワケがどうしてもうまく理解できないのだ。(M)

 ニューヨークの街のこと、米国の社会問題、なんでも取材中。

【zak女の雄叫び】取材や日常…。女性記者21人が月ごとのキーワードで本音を綴るリレーコラムです。3月のお題は「流行」です。

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