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新型コロナ感染爆発、イタリアの厳戒ルポ “壮絶たる”空港の現状 職員はマスクしない男性に「近づかないで!!」

 新型コロナウイルスの感染爆発が止まらないイタリア。日本に一時帰国していたミラノ在住のジャーナリスト、新津隆夫氏が、成田からイタリア入りした際の厳戒ルポを寄せた。緊迫と緊張のエアポート。その壮絶たる現場とは-。

 「どうしてもイタリアに帰りたければ、これに乗ってください。その後のフライトは予定がわかりません」

 電話のオペレーターはそう言い放った。3月20日、成田発ローマ行きのアリタリア航空(3月25日、アリタリアはローマ・ミラノの成田線4月全便を運休)。

 出発前に東京のイタリア大使館、ミラノの日本領事館、そしてアリタリアの東京事務所。何度も情報を得ようと試みたが3者からの情報はバラバラだった。

 乗客は68人。隣と1メートルの間隔を取らなければならないため4列シートを独占させてくれた。日本人乗客は僕を含めて5人でイタリア人のパートナーを持つ男女。着陸前に「移動申告書」が配られる。表はイタリア語、裏は英語。乗務員に日本人はいない。自分で解釈して記入するしかない。

 ローマ・フィウミチーノ空港のターミナルでは地上係員と小銃を構えた軍人が待っていて、乗客を整列させると「人と人との間を1メートル以上開け、距離をキープして歩いてください」と告げた。緊張感が走るが、意外にも通関はスムーズで、件(くだん)の書類とパスポート、滞在許可書だけを提示するとあっさり通してくれた。

 その夜は不確定要素が多いので奮発して空港のヒルトンに投宿。やはり1メートル間隔のルール適用もあって外までチェックインを待つ長蛇の列ができた。ホテル内も人との接触を嫌がってか多くの宿泊客がルームサービスで夕食をとり、廊下にはトレーが並んでいた。

 翌朝、ミラノへ移動。早めに出たが空港はすでにカオスだった。国際線も国内線もふだんはLCC用に使っている小さなターミナルに集約。係員の女性がトラメガ(拡声器)で「みなさんの安全のためです。人と人との間は必ず1メートル以上あけて、マスクをしてください!」とここでも叫び続けていた。

 日本では「手洗い、マスク、うがい」が予防三原則だが、イタリアでは手袋が有効とされ、マスクなしでシリコン手袋だけをしている人が目立った。また、「飛沫(ひまつ)は5メートル飛ぶ」との説明を信じて人との間隔を大きく取っている人も。ふだんのイタリアなら何人もの人が割り込みをしてくる距離感覚だ。

 チェックインカウンターの職員は一様に引きつった面持ち。僕の前にいたマスクをしていない男性に「それ以上は近づかないで! IDカードをカウンターに置いたら1メートル以上離れて」などと叫ぶ。見かねた別の青年が「ぼくはマスクを2枚持ってるから、よかったら…」と貴重なマスクを差し出した。

 ところが機内に乗り込むと、そこは見るからに満席で、隣とも濃厚接触。あれだけ神経質に指示していた「1メートル間隔」はどこいった?

 昼ごろ帰宅。高速道路はクリスマスの翌朝みたいにガラガラだった。家人によると、隣に住む中南米系の夫とアフリカ系妻の移民一家は気がついたら消えていたという。

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