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【国家の流儀】新型コロナ“国際宣伝戦”の重要性 ニセ情報放置なら…後の国際政治で不利に

 今回の「コロナ危機」を利用して、中国は、香港や台湾に軍事干渉に踏み切る恐れがある。その場合、彼らは「台湾軍や米海軍から攻撃を受けたから仕方なく反撃をした」と、ニセ情報を流すに違いない-。

 先日、米軍関係のシンクタンクの知人から、こうしたメールを受け取った。

 戦争は宣伝戦から始まる。よって相手のニセ情報は初期の段階で徹底的に潰しておかないと、その後の国際政治で不利に追い込まれることになりかねない。

 この基本原則を踏まえておかないと、ドナルド・トランプ米大統領が今回、「中国ウイルスだ」と明言した背景は理解できない。

 事の発端は、中国外務省の趙立堅報道官が3月12日、「米軍が武漢に感染症を持ち込んだのかもしれない」とツイートし、翌13日も、新型コロナウイルスの発生源が米軍の研究施設だと主張する記事をツイッターで紹介したことだ。

 これに対し、米国のマイク・ポンペオ国務長官は16日、中国の外交担当トップ、楊潔チ共産党政治局員と電話で会談し、「今はデマを拡散したり奇怪な噂を流したりしている場合ではない」と抗議した。その翌17日、トランプ氏はツイッターを更新し、「米国は、特に中国ウイルスの影響を受ける航空会社などの業界を強力にサポートします」と述べ、「中国ウイルス」と呼んだ。その意図は「中国の責任転嫁、ニセ情報は絶対に許さない」というものだ。

 対外インテリジェンス活動の情報を集約・分析している米国家安全保障会議(NSC)も18日、「中国共産党は、中国ウイルスに関する初期報告を握りつぶし、医者やジャーナリストらを処罰した。そのせいで、中国および諸外国の専門家は地球規模のパンデミック(世界的大流行)を食い止める重要な機会を喪失した」と非難した。

 つまり、「われわれは、お前たちが情報を隠蔽し、結果的に新型コロナウイルスが世界に拡散することになった証拠を持っているぞ」と明言したわけだ。

 この情報に基づきトランプ氏は19日の記者会見で「中国の情報隠蔽で世界は非常に大きな代償を支払っている」と批判した。米下院の与野党議員が連携して24日、中国政府がウイルス発生当時の初動対応を誤ったせいで全世界に感染を拡大させ、多数の死者を出したとして非難する決議案を提出した。

 かくして、さすがの中国も「一時」撤退を図る。

 中国外務省は23日、崔天凱駐米大使が米国で取材を受けた際に、新型コロナウイルスが米軍に由来するとする説について、「誰かがばらまいた狂った言論だ」と発言したと発表したのだ。

 一方、日本でも3月3日、参院予算委員会で山田宏議員が新型肺炎(COVID19)を「武漢肺炎」と呼ぶべきであり、「中国独裁政権の『隠蔽』で世界に蔓延(まんえん)した」と主張した。トランプ政権と連携して日本も、中国との国際宣伝戦に立ち向かいたいものである。

 ■江崎道朗(えざき・みちお) 評論家。1962年、東京都生まれ。九州大学卒業後、月刊誌編集や、団体職員、国会議員政策スタッフを務め、現職。安全保障や、インテリジェンス、近現代史研究などに幅広い知見を有する。著書『日本は誰と戦ったのか』(KKベストセラーズ)で2018年、アパ日本再興大賞を受賞した。他の著書に『朝鮮戦争と日本・台湾「侵略」工作』(PHP新書)、『日本外務省はソ連の対米工作を知っていた』(扶桑社)など多数。

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