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米感染症専門家が存在感 冷静助言、トランプ氏発言修正も 

 【ワシントン=住井亨介】新型コロナウイルスの感染が急拡大している米国で、感染症の専門家として政権に対策を助言するアンソニー・ファウチ氏(79)の存在感が増している。記者会見での分かりやすい解説やトランプ大統領の発言の誤りを的確に正す姿勢などが評価され、国民の信頼感を勝ち得ている。

 ファウチ氏は1984年から国立アレルギー感染症研究所の所長を務め、過去6人の大統領に対してエイズウイルス(HIV)やエボラ出血熱などの感染症対策で助言してきた。2008年には当時のブッシュ(息子)大統領から文民に贈られる最も名誉ある「大統領自由勲章」を授与されている。

 政府のコロナウイルス対策チームのメンバーとなって以来、ほぼ連日トランプ氏らとともに記者会見で説明に当たっている。トランプ氏が「そのうち収まる」などと当初楽観論を示していたのに対して「状況が悪くなるのはこれからだ」と国民に警戒を呼び掛けた。

 また、新型コロナ治療薬として抗マラリア薬の承認に前のめりとなるトランプ氏を前に、「臨床試験をしていないので不確実。安全かどうか確かめる必要がある」とくぎを刺したことも。

 トランプ氏は今月16日、10人超の集まりや外食、旅行などの自粛を求める行動指針を発表した。多くの飲食店従業員が失業するなど経済状況が急速に悪化したため、キリスト教の復活祭(4月12日)までに経済活動を再開させることを目指してきたが、科学的根拠が乏しいなどと批判を受け、29日の記者会見で4月末まで延長することを表明。

 新型コロナの死者が「10万~20万人に及ぶ可能性がある」と厳しい見方を示すファウチ氏は、指針の延長を「賢明な判断だ」と評価した。

 ただ、ファウチ氏は科学的見解を率直に話す半面、経済活動の再開を目指すトランプ氏の考えを「国民に希望を与える野心的なもの」と前向きに評価するなど、トランプ氏の意向を真っ向から否定しない配慮も示す。

 米メディア「ビジネス・インサイダー」が新型コロナに関して最も信頼できる当局者を尋ねた世論調査(26日)によると、ファウチ氏が5段階評価で最高点となる3・84を獲得した。26日には米プロバスケットボール(NBA)のスター選手との新型コロナをめぐる質疑応答がインスタグラムでライブ配信され、話題を呼んだ。(産経新聞)

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