【最新国防ファイル】日米共同「移転訓練」 「アジアの砦」維持する戦略上極めて重要な演習 - zakzak:夕刊フジ公式サイト

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【最新国防ファイル】日米共同「移転訓練」 「アジアの砦」維持する戦略上極めて重要な演習

 米軍は、日本国内に陸海空海兵隊の拠点を、いくつも設けている。太平洋やインド洋、果ては中東まで展開するにあたり、在日米軍基地のある日本は、戦略上極めて重要だ。

 しかし、沖縄基地問題に代表されるように、それら米軍基地が、地元との対立の原因となっているケースがある。特に、騒音問題は度々取り沙汰されており、話がこじれると訓練どころの騒ぎではなくなる。そうなると安全保障上大きな問題となる。

 そこで、日本政府は、米軍による訓練が1カ所に集中しないように、他の基地や演習場へと振り分けることにした。それが、基地近隣住民への騒音軽減のための「移転訓練」だ。毎年度10回ほど行っている。

 米空軍嘉手納基地(沖縄県)や、米海兵隊岩国基地(山口県)、三沢基地(青森県)で本来行われるはずだった訓練を、航空自衛隊の基地などで実施することで、近隣住民の負担を少なくするのが目的だ。

 2020年8月24日から28日まで、千歳基地(北海道)において、日米共同訓練が実施された。嘉手納基地や三沢基地からやってきたF-15戦闘機やF-16戦闘機など8機が、空自のF-15戦闘機とともに、積丹半島西方沖や日高南方沖で訓練を実施した。

 空自と米空軍などが行う共同訓練は、従来行っている戦術技量の向上を目的とした訓練や移転訓練などを合わせると、増加傾向にある。参加機は、在日米軍だけでなく、米本土から飛来してくるケースも多い。その中には、戦術上極めて重要な爆撃機が参加することもある。

 例えば、今年8月だけを見ても、B-1爆撃機が参加した訓練は、2回行われている。8月18日に日本海や東シナ海などで行われた訓練では、空自からF-2やF-15が16機、米空軍からB-1が3機、F-15が10機など、米海軍からF/A-18が2機、米海兵隊から最新鋭ステルス戦闘機F-35Bが3機参加し、防空戦闘訓練を行った。これはなかなか規模の大きな訓練だ。

 米空軍が日本周辺空域に頻繁に爆撃機を派遣する意味は、極東アジア地域における軍事プレゼンスに他ならない。特に中国にとって、在日米軍は目の上のたんこぶである。それに加え、マッハのスピードで低空侵入し、巡航ミサイルを発射できるB-1爆撃機などは、脅威に他ならない。

 そこで、米国は、B-1を加えた日米戦闘機による共同訓練を抑止力として使っている。編隊航法訓練として、一緒に飛行する姿を撮影した写真を公開することもその手段の1つでもある。

 米国にとって、日本が「アジアの砦(とりで)」である以上、空自と米空軍などによる日米共同訓練の重要性が減じることはない。

 ■菊池雅之(きくち・まさゆき) フォトジャーナリスト。1975年、東京都生まれ。講談社フライデー編集部を経てフリーに。陸海空自衛隊だけでなく、米軍やNATO軍、アジア各国の軍事情勢を取材する。著書に『自衛隊の戦力-各国との比較』(メディアックス)、『陸自男子-リクメン』(コスミック出版)など。

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