【日本の解き方】「派閥政治」は復活したのか 固定観念による批判でなく、人事の出来を判断すべきだ - zakzak:夕刊フジ公式サイト

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「派閥政治」は復活したのか 固定観念による批判でなく、人事の出来を判断すべきだ

 自民党総裁選をめぐっては、派閥の存在が再びクローズアップされている。かつては弊害も指摘された派閥政治が復活したとの論調もあるが、小選挙区制において、現在自民党の派閥はどのような役割を果たしているのか。

 総裁選を有利に進めている菅義偉官房長官は、国会議員票394票のうち細田派(98人)、麻生派(54人)、竹下派(54人)、二階派(47人)、石原派(11人)の5派閥に加え、7割程度の票を集めると報道されている。47都道府県連の代表者票でも、141票のうち6割程度は菅氏といわれている。全体票の7割程度を集めるとされる菅氏の圧倒的優勢は揺るがず、岸田文雄政調会長と石破茂元幹事長は2番手争いだ。

 その菅氏は、おそらく初めての無派閥、非二世議員の自民党総裁となる。非二世はこれまでいたが、無派閥はいなかったはずだ。政治評論家の中には、つい最近まで菅氏は総裁になれないという見方もあったほどだ。

 どこの国でも政党内グループは存在するので、派閥は必ずしも日本独自のものとはいえない。政党内での多様性確保というメリットの一方、弊害については、派閥力学の結果として党、国会、政府の役職が割り振られるため、適材適所といえなくなるという点がある。

 今の段階で、党、国会、政府人事がどのようなものになるか全く分からないので、そういう意味では、「派閥政治の復活」というのは何を言っているのか、正直なところ不明だ。

 今後の閣僚人事で、閣僚候補者に対し、事前に派閥の領袖(りょうしゅう)経由で連絡があれば、それは派閥政治の復活といっていいかもしれないが、総理からの「一本釣り」であれば、派閥政治とはいえないだろう。

 そもそも、無派閥の菅氏が最有力候補になっている今回の自民党総裁選は、これまでの派閥政治とは一線を画する出来事だ。派閥政治を最もやりにくい人が総理になろうとしているのだ。だから、従来の政治評論家は、菅氏が有力候補になるのを読めなかったのではないか。

 政党の派閥に限らず、どのような組織でも人間関係にはおのずと濃淡が出るので、一定のグループができるものだ。「人が3人いれば2つの派閥ができる」ともいえ、派閥はほとんど自然発生的なものだ。自民党内でも、基本的には過去を含めた人間関係の濃淡を示すものだろう。

 マスコミの論調では、政治において派閥の話をするときには、「悪」だという前提があるようだが、そのマスコミにも組織やグループは存在する。要するに弊害があるかどうかが問題であり、党、国会、政府人事が適材適所なのかどうかに端的に表れるはずだ。

 それは、誰が総理総裁になっても、人事に自分のカラーがあるかどうかが問題だ。ステレオタイプな「派閥政治」というワードではなく、人事の出来不出来で判断するようにしたい。

 もっとも、政治家に対する評価は選挙なので、最終的には来るべき総選挙に委ねられるべきだ。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

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