【日本の解き方】菅首相の「規制改革」の本気度 官僚からしっかり意見聞き、最後は政治決断で結果出す - zakzak:夕刊フジ公式サイト

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菅首相の「規制改革」の本気度 官僚からしっかり意見聞き、最後は政治決断で結果出す

 菅義偉首相は政権運営において「規制改革を進める」と話している。

 菅氏は小泉純一郎政権時に総務副大臣、第1次安倍晋三政権時に総務相を務めた。筆者は、それぞれの時期に総務大臣補佐官、内閣参事官だったので、菅氏の仕事ぶりを間近で見た。

 総務副大臣の時には、郵政民営化の実現に尽力したとともに、総務省内のさまざまな案件について実務的な指導力を発揮した。その当時から、議論では官僚からしっかり意見を聞くが、決断は政治家として毅然(きぜん)と行い、決定後にその指示に従わない官僚には容赦のない人事異動も辞さないというスタイルだ。

 菅氏が総務相時代、「ふるさと納税」のアイデアを出した。筆者は、そのアイデアを実現するためには、今の制度ではできないので、国民が地方自治体に寄付し、その寄付金額について税額控除するという新たな法律が必要だとの意見を出した。

 新たな制度なので、総務省内に有識者からなる検討会を立ち上げた。この制度は、税金を徴収して差配するのが官僚の仕事であるという従来の概念を打ち破り、寄付者たる国民が税金を差配するという、官僚にとっては驚天動地のものだった。

 検討会の人選は基本的に総務官僚に任せたいが、新たな制度では官僚の仕事がないというので、反対意見の有識者もかなり入っていた。強引に推し進めるならば、検討会の人選で多数派工作をすることもできるが、菅氏は正々堂々と議論するというスタイルだった。

 そのうち、税金の差配を全て官僚が行うよりも、一部は国民が行ってもいいという正論が出てきた。税額控除には常に「金持ち優遇」批判があるが、それは役人ではなく政治で解決するという方向でもあった。

 検討会の報告書や法案については総務省の官僚が基本的に書いている。総務省官僚は当初、反対していたが、菅氏は最終的には組織としての総務省を説得した形だ。そして、政治的な根回しは菅氏が行い、法律を成立させ、結果を出した。

 最近、メディアに「実名告白」として、ふるさと納税に異を唱えたら左遷させられたという人の記事が出ている。

 ふるさと納税は、2008年創設、11年東日本大震災への対応のための改正が制度の根幹だ。異を唱えたのは14年だといい、第2次安倍政権での改正のことだろう。

 08年や11年には表立って反対せず、14年になって反対したのだとしたら、役人的にいえば決まったものに反対するに等しい。菅氏の立場からすると、経緯を理解していない役人だと見えたかもしれない。

 ただ、「左遷」というが、そのポストから事務次官になった例もあり、必ずしも左遷ポストとはいえないのではないか。

 菅氏はしっかり役人を評価し、いいアイデアなら取り入れるが、最後は政治決断し必ず結果を出すというタイプだ。安倍政権では停滞した規制改革にうってつけの政治家であり、公言した以上、本気で取り組むはずだ。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

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