【ニュースの核心】官僚に手強い加藤・河野コンビ 役人にとっては相当手強い内閣に? - zakzak:夕刊フジ公式サイト

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官僚に手強い加藤・河野コンビ 役人にとっては相当手強い内閣に?

 菅義偉内閣がスタートした。顔ぶれを見ると「まずは安全運転」という印象を抱く。だからといって、霞が関の官僚たちが安心していられるか、と言えば、逆だろう。役人にとって、これは相当、手強い内閣になるはずだ。

 安全運転ぶりは、官房長官人事に表れた。菅首相が選んだのは、下馬評で筆頭候補に挙がっていた前防衛相の河野太郎氏ではなく、前厚労相の加藤勝信氏だった。

 加藤氏は2012年12月、第2次安倍晋三政権の発足と同時に官房副長官に就任した。同じく官房長官になった菅氏とは、いわば直属の上司と部下の関係だった。以来、菅氏は加藤氏の人物と力量を十分に見極めて「安心して任せられる」と決断したのだろう。

 加藤氏の強みは何と言っても、霞が関の官僚組織を知り抜いている点である。財務省出身というだけでなく、官房副長官として初代の内閣人事局長も兼務した。

 役人は、相手が役所と法律、自分たちの動き方を知らないとみれば、政治家だろうと記者だろうと、ホンネを隠して自分に都合良く操ろうとする。良くて面従腹背、ひどいと露骨なサボタージュだ。自分が天下りを差配して処分されたのに、安倍政権批判を繰り返した文科省の元事務次官が最悪の典型である。

 だが、加藤氏はだませない。「財務省出身なので、役所の味方をするのではないか」と思われるかもしれないが、もしもそうだとしたら、今日まで安倍前首相と菅氏の厚い信頼を得たわけもない。

 今度の菅政権は「規制改革」を最重要の政策課題に掲げている。改革を本気で進めようとすれば、さまざまな規制の下で既得権益を貪(むさぼ)っている各省庁と激突する。その際、官房長官としてにらみを効かせるには「敵の出方」を熟知している加藤氏が適任、という判断だったに違いない。

 一方、行政改革・規制改革担当相には河野氏が起用された。加藤氏が「敵を知る参謀」とすれば、霞が関への「斬り込み隊長」役は河野氏、という役割分担だ。河野氏は、原発問題や最近のイージス・アショア見直し問題での姿勢に示されたように、固定観念にとらわれない発想と行動力で知られている。

 河野氏が行政・規制改革相に就任するのは2回目だ。今回は「改革最優先の菅首相」という強力な後ろ盾を得て、前回にも増して、大胆に行政と規制の網に斬り込んでいくだろう。そうなると、官僚が妥協を求めて駆け込むのは官房長官になる。

 内閣府特命担当大臣として、河野氏の上司は職責上、官房長官の加藤氏であるからだ。そこで、もしも官房長官が霞が関事情に疎い人物なら、官僚は得意の屁理屈を駆使して、相手を煙に巻こうとするに違いない。だが、加藤氏が相手となると、簡単ではない。「屁理屈の技術」に長けた点で、財務官僚の上を行く役人はいないからだ。

 かくて、加藤、河野両氏は改革に最適のコンビになる、と期待したい。菅首相は2人の働きぶりを見て「次の時代」を見据えるはずだ。

 ■長谷川幸洋(はせがわ・ゆきひろ) ジャーナリスト。1953年、千葉県生まれ。慶大経済卒、ジョンズホプキンス大学大学院(SAIS)修了。政治や経済、外交・安全保障の問題について、独自情報に基づく解説に定評がある。政府の規制改革会議委員などの公職も務めた。著書『日本国の正体 政治家・官僚・メディア-本当の権力者は誰か』(講談社)で山本七平賞受賞。ユーチューブで「長谷川幸洋と高橋洋一のNEWSチャンネル」配信中。

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