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【高橋洋一 日本の解き方】法科大学院の淘汰引き合いに獣医学部規制の正当化は論外 誰にもわからない将来の需給見通し (1/2ページ)

 前川喜平・前文科事務次官が講演会の中で、規制緩和の失敗例として法科大学院のケースを挙げたとネット上などで伝わっている。法科大学院の例をもって、52年間にわたり獣医学部の新設を止めてきた文部科学行政を正当化できるだろうか。

 まず、法科大学院の経緯をみよう。当初は10校設立という限定された規制緩和案であったようだ。

 しかし、この10校限定案に対して、10校とそれ以外の格差の拡大、具体的には10校の法学部とそれ以外の偏差値格差が懸念された。しかも10校が都市部に偏在していることから、10校以外の大学と政財界から反対があった。結果として限定案でなくなり、多くの大学が参入することとなった。

 そもそも、文科省が新設学部数を「うまく」調整できるかというと、現実問題としてはまず不可能である。文科省に限らず、将来の需給見通しなど誰にもわからない。

 こうした事情があるため、2000年代になると、需給条件による各省庁の許認可は次々と規制緩和されていった。要するに、将来の需給見通しについては役所で判断するより参入する当事者に任せたほうが無難だからだ。

 こうした観点からすると、法科大学院のケースは規制緩和の失敗とはいえない。それまでのがんじがらめの規制の中で将来の需給見通しを見越せない大学が、規制が緩んだときに予想通り見通しを間違ったという話である。

 大学には妙な横並び意識があり、われもわれもと申請に殺到して共倒れしたが、これを何とかしろと文科省に頼むのは筋違いだ。大学はもっと生きた経済を学習し、横並びをやめ、身の丈にあった経営をすべきだというだけだ。

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