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【大前研一 大前研一のニュース時評】米「台湾旅行法」成立で中国はいったい誰と戦争? 勇ましいことを言っているが… (1/2ページ)

 中国国務院が発表した2018年度予算案では、国防費が前年度比8・1%増の約18兆3700億円となった。これは日本の防衛費(18年度予算案)の約3・5倍だ。「強軍の道を歩む」と軍事大国を目指している中国だが、それ以上に重視しているのが国内の治安維持の強化だ。18年予算案でも治安維持費は国防費を2割上回る20兆9000億円も計上している。治安維持費には警察や武装警察、検察、裁判所、刑務所などの費用が含まれる。

 つまり、13億人以上もの民衆に対し、どうやって言うことを聞かせるのかということにカネを使っているわけだ。「軍事の強化は外国に対する威嚇ではなく、自国民を圧迫するために行うもの」と平気で言っている中国の要人もいる。そのくらい中国共産党および政府は民衆の蜂起を恐れているのだ。

 現在、中国では都市も農村部も、土地の収奪をめぐって不安定な状態になっていて、年間20万件以上の暴動や小暴動が起きている、と言われている。ここに治安部隊を投入するわけだ。

 警備の強化は、新疆(しんきょう)ウイグル自治区やチベット自治区など、少数民族の多い辺境地域でも目立つ。ウイグル自治区では数万人の警察官に最新の武装をさせ、検問所や高解像度監視カメラ、顔認識装置などによる監視を行っている。いつ北京に反旗を翻しても、すぐに押さえつけられるようにしているのだ。

 ウイグルにはイスラム系住民が多い。中国政府は、イスラム過激派組織のISなどに長く潜り込んでいた人たちが戻ってきて、国内にテロが波及する可能性もあると考えているのだろう。

 今年1月、米国のマリオット・ホテル・グループが会員向け顧客調査で「どの国に住んでいるか」と質問した際、選択肢に「中国」「香港」「マカオ」「台湾」「チベット」を並列させた。中国政府はすぐにマリオットに抗議し、謝罪させた。

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