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【富坂聰 真・人民日報】対米批判は商務部長止まり、米中貿易摩擦は本格化せず (1/2ページ)

 いよいよ大国が正面衝突か--。

 メディアでは「貿易戦争」という表現まで飛び交った米中の応酬がボルテージを上げた。

 口火を切ったのはトランプ政権だった。まず鉄鋼・アルミニウムに高関税をかけるとし、中国を牽制(けんせい)した。一方の中国は報復として、米国産の果物など計30億ドル(約3200億円)を対象に上乗せ関税をすると表明した。

 するとアメリカは、中国による知的財産の侵害を理由に、25%の関税を約1300項目に上乗せする制裁措置を発表。中国も106項目を対象に同率の関税を上乗せする報復措置を発表するという具合だ。

 トランプ政権に期待する国内の有権者向けのアピールとはいえ、そこは何らかの成果がなければ引きそうにないトランプ大統領に対し、習近平国家主席も国内に向け、あまり弱気な態度も見せられない。

 両国の対立はいよいよ本格化することは避けられない、との観測が広がったのだろう。

 だが、私はそうは考えなかったし、テレビでコメントを求められれば、そう話もした。

 理由はいくつもある。

 まず対米貿易で摩擦が起きるかもしれないということは、そもそも中国には想定内の事態だ。自身の高速発展を前に、かつて日米貿易摩擦を研究し尽した中国には、それなりの蓄積もある。

 折に触れボーイングの旅客機を「爆買い」したり、米中首脳会談時に巨額の取引を成立させてきたことが、まさにそれだ。

 むしろ、米中貿易摩擦という言葉が今日まで大きくクローズアップされなかったことに日本人は驚くべきだろう。