記事詳細

【高橋洋一 日本の解き方】賃金上昇はどこまで続くのか 日銀の目標達成で名目3%へ、実質も長期的には1%以上に (1/2ページ)

 3月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上の事業所)によると、基本給や残業代などを合計した1人当たりの現金給与総額は前年同月比2・1%増の28万4464円で、8カ月連続のプラスとなった。伸び率が2・0%以上となったのは2004年11月以来、13年4カ月ぶり(毎月の確報値と比較)とのことだ。この動きは続くのか。

 賃金がどう決まるか。この問いは単純であるが、かなりの難問である。経済学の大家である故サミュエルソン氏は「理論経済学者の弁舌はためらう」と正直に言う。賃金はこうあるべきだという規範論と、こうなるはずだという実証論が入り乱れるからだ。

 先入観なしにデータだけでみると、名目賃金は失業率と逆の相関がある。これは、雇用環境が名目賃金に影響していると考えられる。また、インフレ率と名目賃金には正の相関がある。インフレ率が高いと名目賃金も高まるし、逆に名目賃金が高まればインフレ率も高くなるという関係があるからだ。

 アベノミクスの金融緩和によって失業率はたしかに減少した。これは、金融緩和が実質金利を下げて、株高、円安を生じさせるとともに、実物経済を押し上げ、有効需要を増加させて、雇用が伸びたからだ。この現象を理解できずに、いまだに人口減少によって雇用が改善したと主張する人は、人口減少はここ20年くらいの現象であるが、金融緩和を実現した安倍晋三政権と小泉純一郎政権以外には就業者数を増加させていないという事実を勉強すべきだ。

zakzakの最新情報を受け取ろう