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【大前研一 大前研一のニュース時評】“返り咲き”マハティール首相への提言 シンギュラリティに対応を (1/2ページ)

 9日投開票のマレーシア連邦議会下院選挙で、マハティール・ビン・モハマド元首相の率いる野党連合「希望連盟」が過半数を獲得し、1957年の独立以来、初の政権交代が行われた。15年ぶりに首相に返り咲いた92歳のマハティール氏は、81年から22年間、強力なリーダーシップでマレーシアの国力を飛躍的に増大させた人物だ。

 実は私は18年間、マハティール首相の経済アドバイザーをしていた。80年当時、私がマハティール氏にアドバイスしたのは、1人当たり国内総生産(GDP)が1500ドルだったのを2010年までに1万ドルにする計画(Project2010)だ。

 途上国を卒業して先進国の仲間入りをする「20年後の国の姿」を描くにあたり、その象徴としたのが「GDP1万ドル経済」だった。いろいろあったが、とりあえずは達成できた。また、当時のマレーシアはニッパヤシの家に住む人が多かったが、貧困をなくす象徴として、まともな住宅に住めるようにするという目標も設定した。マハティール氏は首相としての最後の年にこれも達成できた。政治家としては「何を成し遂げたいのか」を明確に持ち、長期政権でもぶれなかった。

 さらに、天然資源や観光業に依存していたマレーシアが今後生き抜くため、「IT先進国政策しかない」と提言した。これが96年からの国家プロジェクト「マルチメディア・スーパーコリドー構想」につながった。

 最先端のITインフラで都市を整備し、大胆な規制緩和と優遇措置で世界の企業を呼び込み、国内のICT(情報通信技術)産業を育成することで、マレーシアをアジアのICTのハブ(拠点)にしようという構想だ。この実現のために、首相官邸や首都機能を移転した新行政都市「プトラジャヤ」や、ハイテク関連企業を集める工業団地「サイバージャヤ」を建設した。

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