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【高橋洋一 日本の解き方】格差は総裁選の争点になるか データでは目立った拡大なし 首相との差別化へ焦りの色も (2/2ページ)

 賃金はどうか。厚生労働省の賃金構造基本統計調査は、常用労働者1000人以上を大企業、10~99人を小企業に区分している。月額賃金を12~17年度でみると、男性は大企業で38・1万円、37・9万円、38・2万円、38・8万円、38・5万円、38・3万円と推移。小企業は28・2万円、28・6万円、28・6万円、28・9万円、29・1万円、29・4万円だ。その差は9・9万円、9・3万円、9・6万円、9・9万円、9・4万円、8・9万円。比率では1・35、1・33、1・31、1・34、1・33、1・31。女性も同じ傾向で、大企業と小企業の賃金格差は、変わらないか、若干縮小しているといえる。

 大都市と地方の格差はどうか。内閣府で作成している県民経済計算における1人当たり県民所得は、県民の平均的な年間所得水準を表している。12~14年度について、上位5都道府県と下位5都道府県のそれぞれの平均をみると、上位は345万円、357万円、353万円。下位は226万円、231万円、232万円。その差は、119万円、126万円、121万円と推移。比率をみても、1・53、1・54、1・52とほとんど変化がない。県民所得は高くなっているが、格差の目立った拡大はみられない。

 これらのデータからいえることは、各種の格差はそれほど悪化しておらず、優先順位の低い問題だということだ。格差問題が焦点になるのは、雇用問題が解決されて一定の成長がなされ、ほかに取り上げることがなくなる場合だ。一部野党も、雇用改善でお株が奪われたので、格差問題を取り上げているが、いまいち迫力に欠けている。

 石破氏も、一部野党と同様に安倍首相との差別化を焦るあまり、無理矢理に格差問題を取り上げている印象がある。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

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