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【緊迫する世界】また、きな臭くなってきた朝鮮半島 米、北へ先制攻撃の可能性は…トランプ氏の思惑 (2/2ページ)

 トランプ氏の狙いは、北朝鮮問題で得点を挙げて、11月に迫った米議会の中間選挙を有利に運ぶことだ。北朝鮮とディールをして、それが得票に結びつくと判断すれば、すぐにでも平和条約締結を実現させるだろう。

 世界最大の核保有国である米国にとって、北朝鮮の核はほとんど脅威とはならない。ただ、米朝和解となれば、北朝鮮が韓国を抱き込み「南北朝鮮統一」へと一気に流れかねない。

 それは在韓米軍の撤退につながり、アジア情勢の大変動となる。逆に、米国が北朝鮮を先制攻撃した方が国内的に「票」が得られると思えば、そうするであろう。

 いずれの場合でも、困るのは日本である。

 米朝和解となれば、在韓米軍は撤退し、日本は米国のアジア太平洋地域における安全保障上の最前線に立つことになる。一方、米国が北朝鮮を先制攻撃した場合、韓国にいる在留邦人約6万人に多大な犠牲が出るばかりでなく、日本への北朝鮮からの核・ミサイル攻撃が考えられる。被弾となれば、その被害は計り知れず、その後の復興には多くの月日が費やされるであろう。

 どちらに転んだとしても、日本にとっては死活的問題となる。人ごとでは済まされないのである。

 ■川上高司(かわかみ・たかし) 1955年、熊本県生まれ。拓殖大学海外事情研究所所長。大阪大学博士(国際公共政策)。フレッチャースクール外交政策研究所研究員、世界平和研究所研究員、防衛庁防衛研究所主任研究官、北陸大学法学部教授などを経て現職。著書に『「新しい戦争」とは何か』(ミネルヴァ書房)、『トランプ後の世界秩序』(東洋経済新報社)など。

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