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【高橋洋一 日本の解き方】平和条約発言とプーチン外交 習主席との接近も気がかり 粘り強く交渉すれば再び好機が (1/2ページ)

 ロシアのプーチン大統領が、12日に開催された東方経済フォーラムの全体会合で、北方領土問題を棚上げしたうえで年内に平和条約を締結することを安倍晋三首相に提案した。

 プーチン氏はこの発言を「今思いついた」としている。これが外交であり、プーチン流の揺さぶりだ。外交では、様々な場で、ヒントを示唆したり、露骨に揺さぶったりする。

 この発言は、日本の「領土問題を解決してから平和条約を締結する」との立場を否定して、ロシアの従来の「領土問題はないからすぐに平和条約を締結する」との立場を繰り返したに過ぎないものだ。プーチン氏がそれを「今思いついた」とマスコミが喜ぶ言葉で語ったことが、まさに外交なのだ。

 10日夜に開催された日露首脳会談の場では、プーチン氏は「平和条約はすぐに解決できない」と発言したという。

 実は12日のプーチン発言は、平和条約の提案の前に、条約締結後に歯舞、色丹の2島の引き渡しを明記した1956年の日ソ共同宣言にも言及している。

 ということは、日本側のいう領土問題が4島一括であり、「4島返還後に平和条約締結」を主張していることを意識したうえで、日ソ共同宣言の「平和条約後に2島返還」より後退させ、「平和条約締結後に領土問題を交渉」というクセ球を投げてきた可能性もある。

 いずれにしても、東方経済フォーラムでの司会進行も含めて、この一連の進行はロシア政権の「シナリオ」通りだろう。プーチン氏がこうした手を使ったのは、おそらくロシア側に対日交渉での手詰まり感があるためだと思われる。

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