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【日本の選択】総裁選で見えた自民党の底力…義理・人情を大切にする黒子の存在 (1/2ページ)

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 今回の自民党総裁選(20日投開票)で、不思議な動き方をする派閥があった。竹下派(平成研究会)、より特定すれば参院竹下派である。安倍晋三首相(総裁)の優勢が報じられるなか、あえて石破茂元幹事長の支持に舵を切った。

 この中心にいたのが吉田博美参院幹事長だ。平成研究会の前代表であった額賀福志郎元財務相に代表退任を迫り、竹下派を誕生させた参院の実力者である。

 吉田氏は長野県選出の参院議員だが、出身は山口県だ。安倍首相とも近く、首相が苦境に陥った際には、参院幹事長として支えてきた人物である。だが、参院竹下派は石破氏の支持に動いた。

 背景には、吉田氏が「政治の師」と尊敬する青木幹雄元参院議員会長の存在があった。吉田氏は、安倍首相支持を訴えたが、青木氏が首を縦に振ることはなかった。苦悩の結果、吉田氏は石破氏の支持に踏み切ったとされる。その際、吉田氏はこうつぶやいたと報じられた。

 「親分を裏切ったら、一生『人を裏切る人間』とみられる。心情的には安倍首相を支持したいが、私にはできない」

 政策ではなく、義理・人情を重視する姿勢を「古い」と片付けることは簡単なことだ。だが、私はここに自民党の底力があると考えている。

 「他人を簡単に裏切る人は信用できない。ましてや、親分を裏切る人間は信用してはならない」という価値観は、誠実を美徳と捉える日本の価値観だ。政策は変更することが可能だが、人間性は変わらない。

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