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【高橋洋一 日本の解き方】日本の準備実った新通商交渉 米有利のサービス分野除外は大きな成果 「対中包囲網」では同一歩調 (2/2ページ)

 これで米国がよく納得したなあというのが、筆者の正直な感想である。おそらく日本のそれまでの準備が良かったことの成果であろう。

 日米貿易交渉で、日本はいわゆる「三段重ね」方式をとった。首相・大統領の下に大臣間交渉という「二段」ではなく、副総理・副大統領をかませて「三段重ね」にしたのだ。これは当時のトランプ政権で交渉担当の役人の任命が遅れて絶対数が足りないという準備不足を突いたもので、米国としても時間を稼ぎたいところで提案したナイスプレーだった。

 もっとも、この「三段重ね」は交渉に時間がかかる。米国が対中貿易戦争で忙しいこともあり、日本との交渉は実質的にあまりなかった。そこで、今回の日米首脳会談となったが、11月の中間選挙を控えて早く成果の欲しい米国は、結果として交渉範囲を物品に絞らざるを得なかったのだろう。

 日本はサービスを除外できるので、対米交渉では願ってもないことだ。しかも、自動車関税が当分なく、農産物関税がTPPの範囲内なら、日本にとっては十分だろう。

 さらに、今回の日米首脳会談では、対中包囲網が完璧にできている。その証拠に、日米共同声明の後半には、中国を名指しこそしていないが、「第三国の非市場指向型の政策や慣行から日米両国の企業や労働者を守るための協力を強化する」として、知的財産の収奪や国有企業による歪曲化、過剰生産を含む不公正貿易慣行など、誰が読んでも中国に向けた非難が盛り込まれている。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

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