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【高橋洋一 日本の解き方】増税にこだわり「資産売却」を嫌がる財務省 その理由は「天下りができなくなる」から (2/2ページ)

 債務返済のためには、資産売却してバランスシートをスリム化することが先決だ。これは、企業の債務整理や諸外国でもしばしば用いられる手法である。

 たとえば英国では、これまで財政危機といわれるたびに資産売却を行ってきた。オークションサイトでは、軍艦まで出品されたこともある。英国政府を訪問すると、部署によっては所在地が変わっていることもよくある。政府所有ビルではなく、政府が民間から借り上げているからだ。

 ギリシャでも、財政問題になるたびに政府保有資産を売却している。ギリシャはこれまで200年間で100年近くデフォルト(債務不履行)状態になっているなどデフォルト常習国なので、売却された資産は多い。2010年頃のギリシャ危機の際、国営郵便局・電気ガス民営化等で債務残高の15%の国有資産が売却された。

 ちなみに、先日の本コラムで紹介した国際通貨基金(IMF)の報告書によれば、ギリシャと英国のネット負債残高対国内総生産(GDP)比はそれぞれ90%、110%程度と世界の中で最悪の部類だ。

 逆にいえば、日本はそこまで財政状況が悪くなく、資産売却まで追い込まれていないわけで、天下り先確保に支障が生じていないともいえる。なお、借金を借り換えれば資産売却は不要だ。

 各省からは自分の所管の政府関係機関だけに天下るが、財務省はすべての機関に天下ることができる。これは財務省の特権であり、手放したくないはずだ。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

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