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【日本の元気】ノーベル賞候補の始まりはラジオ少年 香取秀俊さん「光格子時計」で新たな挑戦 (2/2ページ)

 私は今年5月、理研で香取さんにじっくり話を聞いたのだが、広い実験室にはぎっしりと電子機器やレーザー装置、工具が並び、まるで先進的町工場だった。香取さん自身、「ラジオ少年」時代には電子工作に熱中していたという。

 電子工作といえば秋葉原にある電子パーツショップ「秋月電子通商」が有名だが、ここにもよく通い、今もここで部品を得ているらしい。

 秋月電子は、メイド姿の少女たちが勧誘でひしめくいかがわしい路地を抜けた先にあり、私も秋葉原に行けば必ず寄る店だ。香取さんに、「30年ほど前、秋月で1000円で買った小さなFMステレオ送信機の音質がとてもよかった」と話したところ、香取さんも同じキットを買い実験用に使ったことがあると聞き、なんともうれしかった。そこで最近、秋月電子に寄ったところ、今も同じキット(進化版)が1000円で売っていたので、つい2つ買ってしまった。

 理系離れの危機が語られて久しいが、子供時代にこういう工作の楽しさを経験してこそ、後にノーベル賞候補とされる「発想」につながるのだと思いつつ、メイド少女たちの路地を抜けて帰ってきたのでした。

 ■山根一眞(やまね・かずま) ノンフィクション作家。1947年、東京生まれ。獨協大学ドイツ語学科卒。執筆分野は先端科学技術、環境、巨大災害、情報の仕事術など幅広い。近刊は『理化学研究所 100年目の巨大研究機関』『スーパー望遠鏡「アルマ」の創造者たち』。理化学研究所名誉相談役、JAXA客員、福井県文化顧問、福井県年縞博物館特別館長、獨協大学非常勤講師、日本文藝家会員。

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