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【高橋洋一 日本の解き方】大臣に専門性は必要なのか? 開かれた議論を重ねた上で、「適切に判断する」ことが仕事だ (2/2ページ)

 たまたま筆者は理系出身でプログラミングの経験があり、財務省の財政投融資のシステム設計をした経験がある専門家だった。そこで検討会の取り回しを竹中大臣から依頼された。座長に加藤寛先生、その他に専門家を5人選んだ。加藤先生は「自分は素人なので自分が理解できれば国民も分かるはず」と言っていた。

 この検討会の結論は、「オーバースペックでない暫定的システムであれば07年4月に間に合う」というものだった。郵政公社やシステムベンダーを入れて徹底的にオープンな議論をしたので誰にも異論はなかった。専門家同士の議論はこういうものだ。

 これには後日談もある。郵政解散と総選挙によりスケジュールが2カ月後ろ倒しになった。総選挙後、小泉首相は07年4月に代えて「6月民営化」と言った。総選挙勝利で、誰も小泉首相に意見を言える状況ではなかったが、筆者は「システム対応できない」と反論した。暫定システムなので四半期決算ができなかったからだ。

 これは技術的な問題なので、誰が指示してもできないものはできない。システム対応できるギリギリの07年10月を進言した。小泉首相はすぐ了解した。

 もし、民営化時にシステムトラブルがあったら、判断した政治家は政治生命を失うし、専門家も評判を失いその後活動するのは無理だっただろう。

 大臣は判断するのが仕事であり、そのために信頼できる専門家を集めればいいのだ。信頼できる専門家をどれだけ集めて、オープンで国民の納得できる議論ができるか、その上で適切な判断ができるかが、大臣の仕事だ。判断にあたり、専門知識は必須ではなく、その資質があるかどうかは大臣の仕事ぶりを見て判断すればいい。何かをする前に、あげつらうことは生産的とはいえない。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

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