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【zak女の雄叫び】《zak女の雄叫び お題は「晩」》谷垣氏に見る去り際の美学 (2/2ページ)

 谷垣氏とて「OBの発言は全く取り上げるべきでない」とは考えていない。ただ、「OBの主張を取り上げるぐらいなら野党の主張を取り上げるべきだ」と考えていた。ある番記者が「僕たち現場の記者はそこまでOBを重視していないけれど、現役時代を知るデスクが食いつくんです」とこぼすと、「そんなのは忘れ去らなければならない。マッカーサーを見習うべきだ」と答えていた。

 谷垣氏は昭和58年の衆院選で初当選して以来、12回の連続当選を果たしてきた。この間、財務相や法相などの要職を歴任し、野党時代には党総裁も務めている。ハト派の重鎮で、幹事長時代はタカ派とされる首相とのバランスをとるように抜群の存在感を発揮。平成28年7月に自転車事故で大けがを負うまで、「ポスト安倍」の一人にも数えられていた。

 事故後もあれだけ明瞭に話す姿を目の当たりにすれば、党内に政界復帰を望む声が出てくるのもうなずける。だが、不出馬を表明した昨年10月の衆院選で、翻意を促した党幹部に「選挙で立って演説できなければ出馬してはいけない」と譲らなかった谷垣氏のこと。来年の参院選に立候補するとは考えにくい。

 谷垣氏はきっと「死なずに消え去る」つもりなのだろう。元番記者の一人としては、谷垣氏の現役時代を忘れ去りたくはない。けれど、それが谷垣氏の美学なのだ。寂しいかぎりだが、その思いを尊重したいと思う。(蜂)

 こうして私も、政界OBを過度に重視する先輩記者になるのでしょうか。

【zak女の雄叫び】取材や日常…。女性記者21人が月ごとのキーワードで本音を綴るリレーコラムです。11月のお題は「晩」です。