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【長谷川幸洋「ニュースの核心」】与党・民進党大敗も… 米中新冷戦が、台湾人の“政治意識”を覚醒させる (1/2ページ)

 台湾の統一地方選(24日投開票)で与党の民主進歩党(民進党)が大敗し、蔡英文総統が同日、党主席(党首)の辞任を表明した。中国との関係で、蔡政権は「現状維持」を唱え、勝利した野党・国民党は「親中路線」を掲げていた。中国は当然、ほくそ笑んでいるだろう。

 だが、これで「台湾が中国の影響下に入ってしまう」とみるのは早計だ。

 蔡氏にとって、本当の試練は14カ月後の2020年1月に予定されている次期総統選である。中国との「新冷戦」に踏み切ったドナルド・トランプ米政権は「台湾テコ入れ」に動くに違いない。

 蔡政権は台湾独立志向の強い学生たちが展開した14年の「ひまわり運動」を背景に、16年の総統選で圧勝し、誕生した。ところが、今回は22の県市首長ポストのうち、民進党の獲得数は改選前の13から6に激減し、逆に国民党が6から15に躍進した。

 民進党の敗北が必ずしも「台湾の中国接近」を予感させないのは、選挙の争点が、年金や労働改革など国内問題だったからだ。退職公務員の年金削減は民進党支持者の怒りを買った。蔡氏が進めた同性婚推進政策も有権者の強い反対に遭った。

 米通信社ブルームバーグは「蔡総統のガバナンスに対する失望を示した」「中国との統一や台湾独立問題とは関係ない」という識者の声を伝えている。

 中国は、中国で暮らす台湾人に多くの優遇策を与える一方、台湾と外交関係を持つパナマなどにもアメをぶら下げて、台湾との断行を迫った。蔡政権は中国に外堀を埋められていたのに、過激なリベラル政策を打ち出して裏目に出た形である。

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