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【高橋洋一 日本の解き方】米金利逆転が示す景気転換点 日本の長短金利があぶり出す日銀の「消極的緩和姿勢」 (2/2ページ)

 一方、日本をみると、2年物はマイナス0・15%、10年物は0・05%だ。きわめて低位の水準で0・2%のスプレッドと順イールドだ。長期金利が低位水準ということは、長い間なかなかインフレが加速しにくいと市場は読んでいることを意味している。しかも順イールドなので、この市場の意味するメッセージは、なかなかインフレ加速もせず、利上げもそれほどできないというわけだ。

 日銀が黒田東彦(はるひこ)総裁体制になって5年になるが、はじめの1年は良い調子だった。ところが、2014年の消費増税で景気の腰折れを招いたころから危ない兆候が出てきた。その後、あっさりとインフレ目標達成を先送りするわりには、本来なら金融緩和を強化すべきところをその反対に弱めてきた。政策転換であるイールドカーブコントロール(長短金利操作)では結果として金融引き締めになる利上げもした。

 このような黒田日銀のスタンスは、ステルステーパリング(隠れ緩和縮小)と揶揄されており、事実上、金融緩和機能を弱めてきた。市場の金利情報は実に正直なもので、インフレ目標を達成するような強力な金融緩和を行わず、形ばかりの弱い金融緩和を継続する黒田日銀の政策スタンスを忠実に反映している。

 黒田日銀は、政府の財政政策の出番待ちで、自らは動こうとしないようだ。これも市場から見透かされている。市場金利のイールドカーブには、これからの日銀の金融政策が反映されているといえるのだ。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

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