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【新・カジノ情報局】“スロットの森”ではトイレに八つ当たりも… アトランティックシティーの今 (2/2ページ)

 その後トイレにいたときだ。やたらとでかい咳払いが聞こえたかと思ったらさっきの男が入ってきた。彼は個室の扉を蹴っ飛ばし、けたたましい音を立てて便座を下ろし、アメリカのギャグマンガのように豪快な音を出しながら用を足した。便所に八つ当たりしたってしようがないじゃないかと思うのはマトモな人の感覚だ。

 スロットで負けると、「あのおとなしい人がなぜ?」というほど怒り狂ったりする人が出ることがある。日本のパチンコ屋でも見たことがある。負けた腹いせにパチンコ玉を便器の中にブチ込んだり、予備のトイレットペーパーを投げつけたり、洗面所のタオルを全部おしまいまで回してしまう人がいるのだ。

 でも競馬やテーブルゲームでは、負けたといって大暴れしている人はあまり見かけない。そのわけはたぶん人間相手と機械相手の違いにあるのだろう。

 競馬には人間と馬によるショー的な価値もあるし、テーブルゲームでもディーラーがたまにワザで楽しませてくれる。しかしスロットの相手は冷たい機械。負けるとワナにかかった気分になるのだ。

 負けた男がトイレで暴れる音を聞きながら、スロットの森もできるだけ伐採したほうがこの町のためになるんだけどな…と、ぼくは思った。(作家・松井政就)

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