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【東アジアの動乱と日本の針路】米は「中国製造2025」粉砕する決意! “ファーウェイたたき”を敢行 (2/2ページ)

 米国が一番要求しているのは「知的所有権への正当な支払い」と「中国政府から企業への補助金の全面的撤廃」である。

 中国はこれに対し、「国内法を整備するので待ってくれ」と言い訳をしている。国内法を整備しても、習政権にやる気がなければ実行は保証されない。中国はこれまで何度も「知的所有権尊重」のポーズをとったが実行されなかった。

 そこで、米国は「実行メカニズムの保証」を求めた。「完全に実行を確認できなければ、経済制裁の全面的解除はしない」ということである。

 背後にあるのは、米国の「『中国製造2025』を粉砕する」という決意である。これが実現すれば、世界の先端技術のトップに中国が立ち、世界覇権は米国から中国に移る。それは許さないというのが米国の国家意志である。高関税による経済制裁と並び、ファーウェイや、中国通信機器大手「中興通訊(ZTE)」たたきを敢行したのも、このためだ。

 中国にも弱点はある。「中国製造2025」は西側から技術を盗み、膨大な政府補助金を投入して初めて可能になる。

 米国は関税強化を先送りした一方で、対中輸出を増大させる。中国の抱え込んだドルを吐き出させ、長期戦で中国経済発展の基礎であった知的所有権窃盗による安価な工業製品の輸出競争力を抹殺する。部分的に米中経済戦争は緩和されたように見えるが、米国は時間をかけて中国を追い込みつつあるのだ。

 中国経済を支えているのは、所詮、米ドルを稼ぐ力である。この力を失えば、人民元は暴落し、中国は金融危機に見舞われることになる。

 ■藤井厳喜(ふじい・げんき) 国際政治学者。1952年、東京都生まれ。早大政経学部卒業後、米ハーバード大学大学院で政治学博士課程を修了。ハーバード大学国際問題研究所・日米関係プログラム研究員などを経て帰国。テレビやラジオで活躍する一方、銀行や証券会社の顧問などを務める。著書・共著に『国境ある経済の復活』(徳間書店)、『米中「冷戦」から「熱戦」』(ワック)など多数。

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