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【高橋洋一 日本の解き方】混乱招いた著作権法改正案 見送りは政治的に当然だが…海賊版サイト対策も急務だ (2/2ページ)

 そこで政府は対策を求められた。18年4月、緊急措置としてプロバイダーが接続を遮断するサイトブロッキングが浮かび上がったが、憲法上の「通信の秘密」を侵害する恐れが指摘され、それに代わるものとして、著作権法改正が浮かび上がってきたというのが背景だ。

 法技術的には、適用対象を広く定めて、その中で刑事罰を限定的に絞るのは、役人経験のある筆者にはよく分かる。違法といっても罰則がないなら、訓示的に「違法」というだけで、一般人には実害はない。

 しかし、今回のように、静止画やスクリーンショットまで「違法」とされると、多くの人は過剰反応してしまうだろう。

 結果として、著作権法改正に対して日本漫画家協会から反対意見が出てくるに至っては、漫画家の権利保護のために改正するはずだったのに、誰のための改正なのか分からなくなる。このため、法案の国会提出の見送りは、政治的には当然だろう。

 しかし、今回の見送りによって、違法な海賊版サイトの問題は全く解決されていない。

 著作権法の適用対象や刑罰対象をもっと限定的にして著作権法改正をやり直すか、損害賠償をやりやすくするなどの別の方策を考えるのか、いずれにしても出直しである。

 重要なのは、創作している漫画家の権利保護であって、創作していない海賊版サイトが不当な利得を得てはいけない。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

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