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【高橋洋一 日本の解き方】ノーベル経済学賞、日本人が受賞できないワケは… 経済学の成果を社会が取り入れず (2/2ページ)

 今回のノーベル経済学賞の受賞は、受賞者の業績が現実の政策に生かされているからだろう。たとえば、蚊帳を無償配布と有償配布の場合、マラリアの罹患(りかん)率を比較し、無償支援の効果を検証するという具合だ。

 スウェーデン王立科学アカデミーによれば、ケニアやインドでも受賞者らが築いた研究成果が活用されているようだ。

 ところで、新聞には「受賞者は日本人ではなかった」という記事もあった。ノーベル経済学賞を受賞した日本人はまだいない。研究者層が違いすぎることもあるが、原因の一つは経済学の成果を社会が取り入れないことがあるだろう。

 今回の受賞理由である「ランダム対照試験」は各分野で行われている。例えば、消費税などの税の表示が販売に影響するかという研究も米国にはある。その結論は、「税込みで表示すると税抜きの場合に比べ8%売り上げが下がる」だ。

 しかし、日本の国税庁による表示規制は、税込み表示が原則だ。もちろん原則であって、表示方法によっては税抜き表示でもいい。ただし、ほとんどの場合、原則の税込み表示であり、税抜き表示にはまず出合わない。

 日本において経済規制導入の際、こうした「ランダム対照試験」という話を聞いたことがない。税込みでも税抜きでも同じ「はず」だ。であれば、分かりやすい税込みのほうがいいだろう、という感覚程度で決めたのではないか。邪推すれば、税込みのほうが消費増税が目立たないという財務省の思惑も見える。これでは無理だ。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

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