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【高橋洋一 日本の解き方】「低所得国」へ転落する日本…元凶は“平成のマネー不足”だ 2度の消費増税も足引っ張る (2/2ページ)

 国民の平均的な所得という意味では、「1人当たりGDP」のほうが適切だ。同時期の世界銀行のデータでみると、日本は2万5400ドルから3万9300ドル、米国は2万3900ドルから6万2600ドル、中国は300ドルから9800ドルだった。日本は伸びがなく、相対的に魅力がなくなっている。

 平成における日本の低成長期は、いわゆる「失われた10年(もはや20年、30年)」だ。原因には諸説あり、構造問題としての企業投資の不振、不良債権処理の先送りなどが多くの経済学者によって主張されてきた。筆者は、日本だけがマネー不足だったためだとみている。

 企業投資の不振は、マネー不足によるデフレ経済の結果であるし、不良債権問題も世界中にあり、処理の先送りは他国でもみられる現象だ。

 しかし、世界銀行の統計で、日本のみならず他国を含めたGDPの動きを最もよく説明できるのが、GDPの伸びと相関の高いマネーの動きだ。1980年代に日本のマネーの伸び率は10%程度あり、先進国の中では標準的だった。しかし、バブルへの反省と懸念から90年代にマネーの伸び率は急落した。これがデフレの原因でもある。マネーの動きは基本的に金融政策の分野であるが、緊縮財政もその動きに輪をかけた。要するに、マクロ経済政策の失敗が原因だ。

 アベノミクスでは、金融緩和政策によって雇用が確保できた。しかし、2度も消費増税を行い緊縮財政を維持したので、所得が上がるまでには至らず、大きな課題を残したといえるだろう。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

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