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【警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識】看板だった予報部が消えた気象庁の「大改革」 地震火山部の「地震予知情報課」も廃止 (2/2ページ)

 長期予報(3カ月予報)も課題だ。げたを投げた程度にあてにならないといわれて久しい。明日、明後日の予報が「大気の運動方程式」を使ってスーパーコンピューターで計算できて当たるようになったのと対照的に、数カ月先の予報はこの方式が使えず、過去の経験に頼っている。英国ではいさぎよく長期予報を廃止したが、日本は昔からの因縁でやめられない。

 この陰で、ひっそりと地震火山部の「地震予知情報課」も廃止された。この廃止で、気象庁は名実ともに「地震予知」の看板を下ろしたわけだ。

 この課は3年前まで「事前予知」を前提とする東海地震の監視業務を行ってきた。前身は地震予知情報室で、設置されて以来40年間、事前予知のための東海地震の監視業務を担ってきた。

 東海地震は1970年代に警告されてから大震法(大規模地震対策特別措置法)という法律まで作られ、いまにも起きるのではないかと思われた。だが、起きないまま、約40年がたった。起きるとすれば南海トラフ地震の東端の一部として起きると思われている。

 学問的には地震予知は現在の学問レベルではできないと前から分かっていたが、2018年、政府はついに白旗を揚げた。

 政府が「予知はできない」として南海トラフ地震の防災対応を行う方針に転換したことで、課の名前と仕事の実態とがそぐわなくなっていたから、廃止されるのは当然だった。「できないことをやる課」のように見えるという内外の声に押されたわけだ。

 ■島村英紀(しまむら・ひでき) 武蔵野学院大学特任教授。1941年、東京都出身。東大理学部卒、東大大学院修了。北海道大教授、北大地震火山研究観測センター長、国立極地研究所所長などを歴任。著書多数。最新刊に『多発する人造地震-人間が引き起こす地震』(花伝社)。

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