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森喜朗氏、菅義偉氏から逆説的に学ぶ、正しい謝り方 (2/4ページ)

 伊吹氏は主要大臣を歴任した人物だが、以前、筆者は仕事の関係で、伊吹氏が省の職員に対して訓示をしている場面に出くわしたことがある。あくまで職員向けの訓示なので、ここで内容は披露しないが、率直な感想として立派な訓示だった。おそらく伊吹氏には、政治や社会に対する基本感があるので、一貫した見解を示せるのだと思われる。何が善で何が悪かを決めるのは簡単なことではないが、それでも善悪に関する基本感の有無がもたらす影響は大きい。これがないと、こうした謝罪などの場面で思わぬ言い回しにつながってしまう。

 実はビジネスパーソンも同じ失敗をしている

 菅氏の場合、ただ原稿を読み上げた可能性も高いので、書いた人は別人かもしれない。しかしながら、菅氏が考えたものであれ、他人が書いたものであれ、相手に対して良い印象が伝わらなければ謝罪しても意味がない。このような謝罪を台無しにしてしまう行為は、政治家だけでなく、多くのビジネスパーソンも同じ轍を踏んでいる。

 仕事上のトラブルにおいて一言、「私の不注意でした。大変、申し訳ございません」と謝罪すれば何の問題もなく解決するところを、この一言が言えないことで話がこじれるケースは多いのだ。以前、ある企業が顧客とトラブルになり、顧客が経緯をSNSで訴えたところ、企業に批判が殺到するという出来事があった。

 このケースは明らかに企業側に非があると思える内容だったが、企業がWebサイトに出した声明は、被害を受けた顧客に対してではなく、ネットを見た他の顧客に対して「ご心配をおかけしている」と謝罪する内容だった。つまり、被害を受けた顧客を完全に無視したばかりか、被害者であるかのように振る舞ってしまったのである。当然のことだが、これは火に油を注ぐ結果となり、ネットではさらに批判が殺到するという悪循環になった。

ITmedia ビジネスオンライン

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