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偽版画なぜ拡散…日本画価格下落で経営難 鑑定書なく目利き頼み (1/3ページ)

 日本画の大家、平山郁夫らの絵画を基にした版画の偽作が見つかった事件は、関与を認めた大阪府の画商が人気の高い大家の偽作を大量に流通させ、市場で値崩れを起こす事態まで招いていた。美術関係者らは長年、偽作が流通した背景について、鑑定書がなく、真贋(しんがん)を目利きだけに頼る版画特有の事情を指摘する。さらには、偽作の制作を容易にする技術の向上、取引市場の移り変わりなど複雑な時代背景も浮かんでくる。(吉沢智美)

 ■需要落ち込み

 「いつの世も偽作は存在する。普通は画商が見つけるなどして歯止めがかかるものだが、今回はあまりにも長きにわたり流通してしまった」。東京都内の美術関係者は険しい表情で語る。

 平山郁夫、東山魁夷(かいい)、片岡球子(たまこ)、有元利夫-。偽作版画は、大家や人気作家の名が並ぶ。これまでに、大阪府の50代の男性画商が一部への関与を認め、約8年前の平成25年ごろから、奈良県の工房に制作を依頼していたことがわかっている。

 美術関係者によると、25年前後、日本画を取り巻く情勢は厳しかった。20年のリーマン・ショック以降、取引価格は大きく下落。23年の東日本大震災を経て、需要はさらに落ち込んだ。