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「令和版・富国強兵」へ 経済安保重視で国産半導体支援、自民党骨子案 「国防支えるのが経済という現実をようやく直視」井上和彦氏

 自民党は20日、新たな成長戦略の骨子案を示し、経済政策や企業活動が安全保障に直結する「経済安全保障」を重視した投資戦略を明記した。中国は毎年、急速な経済成長とともに国防費を増大させ、軍事的覇権拡大を進めている。日本は平和と安全を守るためにも、国産半導体など安全保障を意識した経済政策が不可欠といえる。これらは、「令和版・富国強兵」に発展するのか。

 「国際社会では『経済と安全保障は一体』であることは常識だが、日本だけが切り離してきた。『外交・安全保障を支えるのが経済である』という現実を、ようやく直視したといえる」

 軍事ジャーナリストの井上和彦氏は語った。

 自民党の骨子案では、国内需要のすべてを輸入に頼る先端半導体の安定調達に向け、国内開発・製造拠点の立地計画を支援する。米国や台湾などの海外メーカーを誘致した日本企業との共同研究を想定している。

 現在、世界的な半導体不足に陥っている状況で、日本は国内需要の6割以上を台湾を含む海外からの輸出に頼っている。ただ、中国は台湾の防空識別圏(ADIZ)に頻繁に戦闘機などを進入させるなど、台湾侵攻リスクは存在する。半導体をはじめとしたハイテク産業における安定的な供給への取り組みは急務なのだ。

 井上氏は、台湾との関係強化は重視するものの、「(半導体などを頼ることは)国家としての脆弱性を露呈することになる」と指摘する。

 日本経済全体の底上げも必要だ。

 日本のGDP(国内総生産)は、42年間にわたって世界2位だったが、中国が2011年に抜き、その後も成長の勢いは止まらない。

 GDPと比例して成長しているのが軍事力で、中国の国防費は21年度で1兆3553億人民元(約22兆6000億円)だが、日本は同年度の防衛予算は5兆3422億円と、その差は4倍を超えている。

 日米同盟や日米豪印の戦略的枠組み「QUAD(クアッド)」を強化するとともに、こうした現実も直視すべきだ。

 井上氏は「経済成長と防衛費は連動しているため、まさに『令和版・富国強兵』は必要だ。防衛予算も前年度比にこだわらず、現状に合わせて柔軟に計上する必要がある。中国は関係国の経済依存を高めさせ、経済を人質にとることで外交を行うしたたかな国だ。警戒すべきだ」と語った。

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