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【大前研一 大前研一のニュース時評】天然ガスのパイプライン事業「ノルドストリーム2」を巡る米独露それぞれの皮算用 (1/2ページ)

 米独政府は先月21日、ロシアとドイツが共同で進める天然ガスのパイプライン事業「ノルドストリーム2」(NS2)に関する共同声明を発表した。これまで米国はロシアの影響力拡大を懸念して、パイプライン建設に反対してきたが、ドイツとの同盟関係を重視して、容認に転じることになった。

 ただ、容認の代わりに、「ロシアが敵対関係にあるウクライナなどに打撃を与えるためにエネルギーを利用した場合、ドイツは独自の制裁措置をとるほか、欧州連合(EU)にも制裁を働きかける」と明記し、ロシアを牽制した。

 NS2はロシアとドイツを海底で結ぶパイプライン。ロシアの西シベリアからバルト海を通してドイツのグライフスバルトに天然ガスを送る。総工費110億ドル(1兆1990億円)ですでに90%以上が完成している。

 ガス田が違うものの、ほぼ同じルートを結ぶ2011年稼働の「1」もあるが、「2」が完成すれば、輸送能力が現在の2倍になり、ロシアから欧州向けの天然ガスの大半を輸送することができるという。

 ロシアから欧州へのガス輸送は、これまで東欧経由の陸路で行われていたが、ロシアとウクライナの対立で停止することが多かった。また、資金の乏しいウクライナが自国分をコソッと抜き取ることもあって、足りなくなることもたびたび起きた。このため、バルト海経由のガス管が設置されたわけ。

 今回のNS2により、欧州にはさらに安定したガスの供給が見込まれる。ドイツの発電の比率は、風力発電が3割を占め圧倒的に高い。各農家には風車が回っている。次いで石炭火力発電(約14%)。

 ドイツを含む欧州にとって炭素排出量が高い火力発電から脱却してグリーンなエネルギーへの転換を果たすには、天然ガスへの依存度を高める必要がある。ドイツの天然ガスによる発電の割合は12%前後だ。

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