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【大前研一 大前研一のニュース時評】中国警戒の裏で運用面にハードル 安保技術、留学生は許可制 大学で研究停滞の恐れ…具体的なガイドライン策定を (1/2ページ)

 日経新聞朝刊1面に先日、「安保技術、留学生は許可制」という記事があった。

 政府が外国為替及び外国貿易法(外為法)の運用通達を改正して厳格化し、日本の大学に長期留学する外国人について、安全保障にかかわる「機微技術」を伝える場合、経済産業大臣に許可を得ることを義務づけるというもの。対象は半年以上滞在する留学生。半年未満はすでに許可制となっている。2022年度に施行する。

 機微技術というのは、軍事に転用されやすい技術。人工知能(AI)、量子コンピューター、バイオ、ロボットといった最先端技術も含まれる。大学が留学生や外国人研究者を受け入れるとき、安保上の懸念がないか事前確認することを国は求めているが、事前審査を内部規定にしている大学は6割ほどだという。

 ただ、この件は「言うはやすく」だと思う。大学からすると、この留学生が技術を盗んで母国に持ち帰って売り飛ばすような人間なのかどうか、あるいは母国の政府から指令を受けて技術を盗みにやってきた人間なのかどうか、見抜くのは困難だ。

 この許可制を過度に強めて、真面目に勉強しようと思っている留学生に対し、「これはダメ」「あれもダメ」という風に規制すると、留学生の来日が難しくなる。先生たちも指導しにくいだろう。大学の研究が停滞する恐れもある。

 50年前、私が米国マサチューセッツ工科大の原子力工学科大学院で学んでいたころ、米国海軍研究所から委託を受けた仕事もやっていた。当時は日本人に対して、こういった問題はまったくなかった。もちろん私が軍事機密に触れることはなかったが、軍事機密に属する研究はできた。成果が出たとき、特許出願などに関しては海軍の研究所に属する、というサインはさせられたが。

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