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【清水満 SPORTS BAR】野球の華… 唯一“時間を止める”本塁打の醍醐味 (1/2ページ)

 「ワァオー!」

 テレビ観戦だったが、思わず画面に向かって叫びました。先週の巨人vs阪神(東京ドーム)の8回、阪神・糸井が沢村から放った決勝となる13号本塁打である。

 背中がのけ反るほどバットを振り切った糸井。打球は右翼最上部にあるの看板を越えた。推定140メートルの驚弾であった。

 「人生最高? それぐらいの当たりだった」

 糸井の弁である。これまでドームでは、数え切れないくらいほど多くの本塁打を見てきたが、拙稿が見た中では、間違いなく“最高飛距離”の部類に入る気がした。

 人間って、あまりにも凄いシーンを見せられると言葉を失う。糸井のケースもそうだった。その瞬間、場内には一瞬の静寂が生まれ、着弾直後に歓喜の声…。テレビを見ていても、その雰囲気が伝わってきた。

 ところで、本塁打といえば王貞治さん(現ソフトバンクホークス球団会長)である。以前、“ホームランの魅力”についてこう話していた。

 「唯一、時間を止めることができ、“自分だけの時間”を持てる。それはホームランを打ったときだけなんだ」

 試合をコントロールするのは審判である。選手は勝手に試合を止められない。選手は、間をとるため「タイム」を要求することはできるが…。投手は自分のタイミングで投げられるし、球種も選べる。その点、打者ってのは常に受け身である。

 だが、本塁打だけは違う。“打った人の世界”がそこに存在するのだ。

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