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巨人“絶対に負けられない闘い” 原監督自ら出向くも大苦戦の末に丸獲得

 巨人は広島からFA宣言した丸の獲得に成功し、FA争奪戦の“国内無敗”記録を更新したが、今回ばかりは前例にない大苦戦だった。

 原辰徳監督(60)の携帯電話に“待ち人”から着信があったのは、11月30日午前10時少し前のこと。成否いずれでも電話での連絡は想定していたが、「どういう内容なのか分からないので、ドキドキするところもあった」。丸から「お世話になります」という言葉を聞き、深い安堵とともに「一緒に頑張ろう」と声をかけた。

 監督在任中のFA補強はこれで14人目だが、初交渉の席に自ら出馬したのは今回が初めて。24日に都内ホテルで初対面した印象を振り返り、「話していると飽くなき向上心、謙虚な姿勢など会う前より魅力が増した。練習する環境など地道な話ができて、野球人としてほれ直した」と話した。

 何よりメンツを重んじる伝統球団は、過去のFA戦線でも目星をつけた選手は事前に徹底的に調べ上げ、脈がなければ土俵に上がりさえしなかった。手を挙げて獲り逃がしたのは、交渉途中の不信感から手を引いた中村紀洋、米大リーグとの勝負になった福留孝介、吉井理人くらい。表向きは国内無敗を誇ってきた。

 丸がFA宣言した時点で参戦を表明したのも、十分な勝算があったからだが、一天にわかにかき曇る。丸に近い関係者によれば、家族に関する不本意な報道や、広島では経験のなかった巨人メディアの激しい取材攻勢などでナーバスになり、丸の心の針は広島残留に幾度も傾いたという。

 一方、巨人のフロントは、頭を下げて再々登板してもらった原監督を交渉の席に引っ張り出して負け戦となれば、球団始まって以来の屈辱。“絶対に負けられない闘い”をなんとか制し、編成の責任を負う石井球団社長は「来てもらえる自信があったわけじゃない。ハラハラの1週間を過ごした。うれしくてしようがない。早く祝杯を挙げたい」と心からの凱歌を上げた。(笹森倫)

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