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【小林至教授のスポーツ経営学講義】ソフトバンクでなければ実現できなかった“米ドラ1”スチュワート入団 MLBドラフト事情に変化 (1/2ページ)

 最速158キロ右腕、カーター・スチュワート投手(19)とソフトバンクとの契約合意を報じた夕刊フジでもコメントしたように、MLB(米大リーグ機構)のドラ1選手が、契約条件で折り合わず、NPB(日本野球機構)球団との契約を模索する例は、これまでにも複数回あった。わたしがソフトバンク球団の取締役を務めていたときにも実際にあった。

 しかし、金銭面の折り合いや時々の事情などから、これまで具現化されることはなかった。

 では、これまでと今で何が違うかというと、ひとつに、MLBのドラフト指名選手の交渉期間が大幅に短縮された。MLBの新人ドラフトは、年3回開催から1回になった1986年以降、球団は指名選手に対し翌年のドラフトまで1年間の交渉権を有していた。これが2007年に2カ月に、さらに12年には現行の1カ月に短縮された。期限までに契約締結に至らなかった選手は、MLB球団と契約する場合は翌年のドラフト待ちだが、それ以外のリーグと行くことについての制約はない。

 もうひとつ違うのが、これも12年に契約金額が大きく抑制されたことである。まず、ドラフト指名選手に支払うことのできる総額が球団ごとに規定され、上限を超えるとぜいたく税が徴収されることになった。その上に、ドラフト指名選手はマイナー契約しか認められなくなった。マイナー契約の選手は、ルーキーだと月給1100ドル×5カ月+ミールマネー(1日25ドル)だから、年収100万円に満たない。実際、時給換算すると最低賃金を下回るブラック職場だとして訴訟沙汰にもなっている。

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