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【TOKYO2020】1964年に坂井義則さんが見た光景 最終聖火ランナーは誰だ!? (1/2ページ)

 東京五輪の聖火リレーは東日本大震災からの復興を目指す福島県を3月26日に出発し、開会式が行われる7月24日の東京都まで47都道府県を121日間でつなぐ。開会式で聖火をともす最終ランナーがだれになるのか。いつの五輪でも開幕前に最大の関心事となる。

 「あの特等席をもう一度、だれかに経験してもらいたい」

 前回、最終ランナーを務めた坂井義則氏は常々、そう語っていた。

 1964年10月10日。早稲田大学1年生の坂井氏は意外と落ち着いていた。国立競技場では五輪旗入場の鼓笛隊の音が聞こえていた。前のセレモニーが終わっていない。

 「予定が遅れている。時間をかけた方がいいな。ここは少し間を置いた方がいい」

 だれから指示されることなく、受け取った聖火を掲げたまま、足踏みをして待った。10万713人目の聖火ランナーだった。

 20秒ほどだっただろうか。鼓笛隊の音が終わると同時に、走り始めた。千駄ケ谷門をくぐる。

 「腕を下げるな。高く掲げるんだ」という競走部の中村清監督の指導通り、トーチを持った右手を高く掲げたまま、聖火台に続く163段の階段を一気に駆け上った。

 「まずはフォーム。それから時間だ。あとは点火のタイミングだけだ」

 聖火台に向かいポーズを取ると、打ち合わせ通りにガスボンベのバルブが開けられ、シューと音がした。トーチを傾けると、聖火台に炎が上がった。復興日本を世界中に知らせる炎だった。聖火を灯した後、競技場に向かい、一段と高くトーチを掲げた。色とりどりのユニホームの選手団とそれを取り巻く大観衆。抜けるような青空の向こうには山々が見えた。

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