記事詳細

【清水満 SPORTS BAR】ミスターうならせたラソーダさんの劇的采配 シリーズの流れ変えた捕手交代、初の世界一に

 ドジャースの元監督で殿堂入りしたトミー・ラソーダさんの訃報が年明け7日(日本時間8日)に届いた。心臓発作だったという。享年93。「俺の体にはドジャーブルーの血が流れている」が口癖だった。ワールドシリーズ2度制覇の名将である。

 日本にも“ラソーダ流”を口にする男がいる。巨人軍終身名誉監督の長嶋茂雄さん。以前こう話したことがある。「ラソーダのおっさんがブルーなら、オレの体のどこを切っても“ジャイアンツの金太郎飴”だな…」。

 巨人一筋の人生を歩んでいるミスターがラソーダさんと初めて会ったのは、現役4年目の1961年。巨人はド軍のキャンプ地、米フロリダ州ベロビーチで春季キャンプだったという。

 当時ラソーダさんはマイナーの指導者だったが、そこで意気投合。監督に就任したのもミスターが75年、ラソーダさんは76年シーズン途中とほぼ同時期だった。その後も、親交を絶やさなかったという。

 そういえば…。いまでも脳裏に残るシーンがある。40年前の81年、ラソーダ監督はヤンキースとのワールドシリーズで初の世界一に輝いた。第1次政権から退陣して、“充電1年目”の長嶋さんは現地で観戦。小欄も同行取材したが、ラソーダ監督と密談する姿を何度も見た。

 ミスターがうなる采配があった。ド軍の連敗で迎えた第3戦、先発した若きエースのバレンズエラは3回4失点と大乱調。するとド軍は4回から、捕手をベテランのイエーガーから当時21歳の若手ソーシアに替えた。

 「普通なら投手を替えがちですが、ラソーダは自らが育てた捕手に替えた。普段から選手たちとコミュニケーションを取っているから有事の対処ができる。おっさんのファインプレーだよ」

 エースは立ち直り、チームは逆転勝利。シリーズの流れを変えた采配だった。ちなみにソーシアとは、エンゼルスで2000年から19年間、監督を務めた知将である。(産経新聞特別記者・清水満)

関連ニュース