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コロナ禍でも諸外国に比べて日本の失業率が低い理由とは? 「雇用の安定」と引き換えに失った「高い賃金」と「良好な労働環境」 新田龍氏インタビュー (2/2ページ)

 ではなぜこの状況が改善していないのか? 結論は「国民が望んでいないから」に尽きる。そんなわけないと思われる方も多いだろう。しかし、そのための方策は次のとおりだ。

 「解雇規制緩和」「定年制度廃止」「社会保険料率低下」「高齢者医療負担増」「消費税増税」

 どうだろう? 明らかに反対する人が多く、これまで何度も議論の俎上に乗りながら否決されてきた案ばかりだ。

 従業員を解雇しやすくすれば、景気や需要変動にも柔軟に対応することができ、雇用の流動性が高まる。結果的に新たな雇用も生まれ報酬も上がりやすくなるだろう。そうなれば定年制度も当然廃止になる。また終身雇用社会では「フルタイム総合職正社員」しかキャリア形成が難しいが、その縛りがなくなれば出産・育児を経た女性の職場復帰も容易となり、女性活躍が進む。社会保険料も極力低率にし、その分を消費増税や医療費の高齢者負担割合増で賄えば、現役世代の手取りは増え経済が活発になる。

 とはいえ実現は難しい。人口も投票率も多数の高齢者に、より多くの負担を求める政策を進められる可能性は低い。しかし、そのための原資は現役世代の稼ぎに依存していることもまた確か。どこかで折り合いをつけていかねばならない。

 ■新田龍(にったりょう) 働き方改革総合研究所株式会社代表取締役。ブラック企業アナリスト、働き方改革コンサルタント。働き方改革推進による労働環境改善支援と、ブラック企業相手のビジネストラブルや労務トラブル解決を手がける。厚生労働省ハラスメント対策企画委員。「ワタミの失敗」「ブラックユニオン」など著書も多数。

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