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【BOOK】現代犯罪の過酷な暴力を分析し、古代文明の人身供儀にたどり着く 佐藤究さん『テスカトリポカ』 (1/3ページ)

 山本周五郎賞を圧倒的な評価を得て受賞した佐藤究さん。本作は今月14日に選考会が行われる第165回直木三十五賞の候補にもなっている。3年半かけた作品について話を聞いた。

文・竹縄昌 写真・山口宏之

 --山本周五郎賞受賞、おめでとうございます

 「ありがとうございます。なかなか新作を出さなかったのでプレッシャーもありましたが、とにかく時間をかけて徹底的に書いたことが、今回の評価につながったのかなと思います。今後も一作ずつ、ていねいに取り組みたいですね」

 --2018年、吉川英治文学新人賞のときは、三振覚悟のフルスイングで書いたと言ってました

 「『Ank: a mirroring ape(アンク: ア・ミラーリング・エイプ)』のときはド派手な三振でもいいや、という立場でしたが、3年半経つと進化を求められ、確実に出塁しなければなりません。まずは『Ank-』を買ってくれた皆さんに、面白いと思ってもらえるかどうかの勝負でした」

 --3年半かけた作品のきっかけは

 「まだ『Ank-』を書いている17年に、編集者から僕の郷里の福岡を舞台に小説を書きませんか、という話が来ました。具体的にはバットマンとジョーカーが壮絶に戦うクリストファー・ノーラン監督の映画『ダークナイト』みたいな。でも、福岡は商業都市の色合いが濃すぎて、イメージがちょっと違ったんです。それで、18年に書いた『くぎ』という川崎を舞台にした短篇の評判が良かったので、再度川崎にロケーションに行ったら、工業地帯もあるし、作品の世界観とハマったんですよ。そこで川崎が舞台になりました」

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