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【渡邉美樹 経営者目線】「胸が熱くなった」矢野財務次官の論文 バラマキ合戦「財源はどこにあるのか」 (1/2ページ)

 矢野康治財務事務次官が月刊「文芸春秋」11月号に寄稿した、日本の財政破綻の危機に警鐘を鳴らしバラマキ政策を批判する論文に波紋が広がっている。与党幹部なども強く批判しているが、私はこの論文を全力で支持したい。

 矢野次官は、これを発表すれば、政治家に疎まれ、天下りポストにも影響するなど、自らの保身を考えれば、しなくていい理由はいくらでもあったはずだ。バラマキ政策に黙する財務官僚を「黙してただ服従するのは、あたかも中国歴代王朝の宦官」と断じていたのが印象的だった。

 国会議員でも財政再建論者は皆無だ。私が議員バッジをつけていたときでも、財政破綻の問題提起には否定や批判を受けてきた。議員の後ろ盾を得ず、官僚が意見するのは相当の覚悟だ。それだけ危機的だと受け止めるべきだ。この論文で、政治家も国民も動かないかもしれない。しかし私には、矢野次官から若手財務官僚への「あきらめないでほしい」というメッセージにも読み取れた。内容は真っ当な正論だ。

 矢野論文でも挙げられていたが、「カネをばらまいても大丈夫」という世の政治家や経済学者が挙げる根拠として、国債発行による財政出動で国内総生産(GDP)を増やすことで「国債残高/GDP」の分母が増え、借金が目減りするという意見や、成長率が金利を上回れば借金は増えず、現に金利が下回る状態が続いているとの見立てがある。しかし、実際にバラマキを行っても、30年間も成長しなかった上、低い成長率を金利が上回らないのは日本銀行が大量の買いオペレーションを実施しているためだ。積極財政派の論理構成に、国民はだまされるべきではない。

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