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【酒井政利 時代のサカイ目】追悼版 音楽プロデューサー・関根敏彦氏が偲ぶ酒井政利さん 時代の音楽を作った先見の明 (1/3ページ)

 今月16日、心不全のため85歳で急逝した音楽プロデューサー、酒井政利さん。2011年2月から約10年5カ月にわたって、本紙で大型コラム『時代のサカイ目』を連載してきた。最終回は約25年にわたって仕事をともにしてきた音楽プロデューサーの関根敏彦氏が酒井さんの功績をしのんだ。

 今年はプロデュース生活60年の節目の年だった酒井プロデューサー。

 一昨年あたりから「東京オリンピックが終わったら引退しようと思っている」と言っていたのが、コロナ禍で1年延期となり、「もうひと頑張りしないと」になった。そして…、東京五輪開幕を目前にして逝ってしまった。

 映画好きが高じて、大学卒業後は映画制作に携わりたいと松竹に入社したものの、映画界は斜陽期を迎え、活気がなかった時代。

 映画製作が難しいと知り、音楽に目を向け、日本コロムビアに場を移した。老舗レコードメーカーは、美空ひばり、北島三郎を始め、そうそうたる大物歌手と古賀政男、西條八十ら大御所作家たちが専属契約をしていた。

 時代のアンテナに敏感な酒井さんは、大御所たちと仕事をしつつも、目新しい作品を作りたいと考え、ベストセラーを原作にした歌の制作を思い立つ。書店を回り、リサーチし、見つけたのが死に至る軟骨肉腫の女子大生と恋人との個人的な往復書簡をまとめた『愛と死をみつめて』。

 今では、ソニーミュージックが小説を音楽にするプロジェクトを立ち上げ、YOASOBIが楽曲を制作してヒットを飛ばしているが、そのルーツといえる。

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